「こんなはずじゃなかった」社内SE転職の現実
「社内SE、楽そうだし転職しようかな」
そう思ってこのページに辿り着いたあなたは、もしかしたらすでに転職してしまって、後悔の真っ只中かもしれません。あるいは、転職を考えているけれど「本当に大丈夫か?」と不安になっているのかもしれません。
特に、中小企業の社内SEへの転職を検討している、または転職してしまった方。
この記事では、社内SE転職で後悔する人の共通点と、向いている人・向いていない人の違いを、現実ベースで解説します。転職サイトの綺麗事ではなく、実際に社内SEとして働いている人の声、転職して後悔した人の本音をもとに書いています。
この記事を読むとわかること:
- 中小企業の社内SEで後悔する人の共通点
- 大手SIerやベンダーとのギャップ
- 向いている人・向いていない人の具体的な特徴
- 転職前に確認すべきポイント
- 後悔しても活路を見出す方法
転職してしまった人も、これから転職する人も、冷静に現実を見つめ直すきっかけにしてください。
社内SE転職で後悔する人の共通点
共通点①:「技術を追求したい」気持ちが強い人
口コミサイトでよく見る意見: 「最新技術に触れられると思ったのに、社内システムの保守ばかり。スキルが伸びない」
現実的な補足:
中小企業の社内SEは、最新技術を使う機会がほぼありません。なぜなら、会社が求めているのは「安定稼働」だからです。
私の知人(元SIer、現在は従業員300名の製造業で社内SE)は、こう言っていました。
「前職ではAWSやDockerを使ってたけど、今の会社はオンプレのWindows Serverが10年前から動いてる。『新しいことやろう』って提案しても、『今動いてるならいいじゃん』で終わり。技術的にはマジで退屈」
中小企業の社内SEの仕事は:
- レガシーシステムの保守・運用
- 既存ベンダーとの調整
- 社員からのPC・ネットワークトラブル対応
- Excel、Accessでの簡易ツール作成
「最新のフレームワークを使ってサービス開発したい」「クラウドネイティブな環境で働きたい」という人には、物足りなさしかありません。
どうすればよかったか: 技術追求型の人は、自社サービスを持つ企業か、大手企業の社内SEを選ぶべきでした。中小企業の社内SEは「何でも屋」であり、「技術スペシャリスト」ではありません。
共通点②:「技術だけやりたい」と思っている人
口コミサイトでよく見る意見: 「コードを書く時間がほとんどない。会議と調整ばかりで消耗する」
現実的な補足:
これ、本当によく聞きます。特に中小企業では顕著です。
社内SEの業務内訳(中小企業の場合):
- ユーザー部門との調整・ヒアリング:30%
- トラブル対応・ヘルプデスク:25%
- ベンダーコントロール・外注管理:20%
- システム開発・保守:15%
- 会議・報告書作成:10%
実際にコードを書いたり、サーバー設定したりする時間は、全体の2割以下です。
ある転職経験者(30代男性、SES→中小メーカーの社内SE)の話:
「前職では開発メインだったから、社内SEでも開発できると思ってた。実際は『プリンターが動かない』『Excelが開けない』みたいな問い合わせ対応が1日の半分。開発したくてもベンダーに丸投げで、自分はスケジュール管理と予算調整。正直、つまらない」
技術だけに集中したい人にとって、社内SEは「技術職」というより「調整職」です。
どうすればよかったか: 「技術だけやりたい」なら、社内SEではなく、開発会社のエンジニアとして専門性を深めるべきでした。社内SEは「IT何でも屋」であり、コミュニケーションと調整能力が技術力より重視されます。
共通点③:「年収・待遇アップ」を期待しすぎた人
口コミサイトでよく見る意見: 「SIerより楽だと思って転職したら、年収50万下がった。残業代も出ない」
現実的な補足:
中小企業の社内SEの年収は、想像より低いです。
年収の現実:
- 従業員100〜300名の中小企業:年収400万〜550万円
- 従業員500〜1000名:年収500万〜650万円
- 大手企業(1000名以上):年収600万〜800万円
SIerやベンダーから中小企業の社内SEに転職すると、年収が下がるケースが多いです。
ある30代後半の男性(元大手SIer、現在は地方の中小企業で社内SE):
「前職は残業込みで年収650万。今は残業がほぼないけど、年収480万。手取りで月5万くらい減った。妻に『生活苦しくなるよ』って言われて後悔してる。確かに定時で帰れるけど、お金がないとQOL上がらない」
中小企業は「定時で帰れる代わりに給料は安い」が基本です。
どうすればよかったか: 年収を重視するなら、大手企業の社内SEか、SIerでマネジメント職を目指すべきでした。中小企業の社内SEは「ワークライフバランス重視」の選択肢であり、年収アップを狙う転職先ではありません。
共通点④:「一人または少人数体制」を軽く見ていた人
口コミサイトでよく見る意見: 「社内SE部門が自分一人。何かあったら全部自分の責任で、休めない」
現実的な補足:
中小企業の社内SEは、多くの場合「一人情シス」または「二人体制」です。
これがどういうことかというと:
- 有給を取りにくい(自分がいないとシステムが止まる)
- トラブル時は夜中でも呼び出される
- 全ての判断を自分でしなければならないプレッシャー
- 相談相手がいない孤独感
転職した20代後半の女性(元SI企業、現在は従業員200名の小売業で社内SE)の話:
「前の会社はチームで動いてたから、わからないことは先輩に聞けた。今は自分一人。サーバーが落ちたら自分で復旧させるしかない。正直、不安で夜も眠れないことがある。『本当にこれで合ってるのかな』って」
一人情シスの怖さは、誰もフォローしてくれないことです。
どうすればよかったか: 複数人のIT部門がある企業を選ぶべきでした。転職前に「IT部門は何名体制ですか?」と必ず確認すべきです。一人体制の場合、メンタル的にかなりキツいです。
共通点⑤:「社内の理解が得られる」と思っていた人
口コミサイトでよく見る意見: 「社員がITに無関心すぎる。パスワードすら管理できない人ばかりで、教育も聞いてくれない」
現実的な補足:
中小企業の社員、特に非IT部門の人たちは、ITリテラシーが低いです。そして、それを改善しようという意識もありません。
実際にあった話(30代男性、製造業の社内SE):
「『パスワードを定期的に変更してください』って通達出しても、誰も変えない。で、アカウント乗っ取られて情報漏洩しかけた。『お前が管理しろよ』って言われて、こっちが悪者扱い。マジで疲れる」
中小企業では:
- ITは「コスト」であり「投資」ではない
- 経営層がITの重要性を理解していない
- 社員はITに無関心、むしろ面倒くさがる
「ITで会社を変えたい」という理想を持って転職すると、現実とのギャップに打ちのめされます。
どうすればよかったか: IT投資に積極的な企業、またはDXを推進している企業を選ぶべきでした。面接で「ITへの投資方針は?」「DXの取り組みは?」と聞いておくべきです。
社内SE転職に向いている人・向いていない人
向いている人の特徴
①「技術よりも、人と関わる仕事がしたい」人
社内SEは、技術職というよりコミュニケーション職です。
具体的な業務例:
- ユーザー部門から「こういうシステムが欲しい」と相談される
- 要件をヒアリングして、実現可能性を検討
- ベンダーに見積もり依頼、交渉
- 導入後のトレーニング、サポート
技術を突き詰めるより、「社内の人が働きやすくなるためのIT環境を整える」ことに喜びを感じる人は向いています。
ある社内SE(40代男性、流通業)の言葉:
「俺は最新技術とか興味ないけど、『このシステム便利だね、ありがとう』って言われるとめっちゃ嬉しい。現場の人が楽になるためのシステムを考えるのが楽しい」
②「広く浅く対応できる」人
中小企業の社内SEは、何でも屋です。
ある日の業務例:
- 午前:新しい会計システムの選定会議
- 昼:社員からのOutlook設定サポート
- 午後:ネットワーク機器の故障対応
- 夕方:セキュリティ対策の報告書作成
一つのことを深く極めるより、幅広い知識で臨機応変に対応する人が向いています。
③「安定とワークライフバランス重視」の人
中小企業の社内SEの最大のメリットは、定時で帰れることです。
SIerやベンダーと違って:
- 客先常駐がない
- 納期に追われる開発がない
- 夜勤・休日出勤がほぼない
年収は下がっても、「家族との時間が増えた」「趣味に時間を使える」と満足している人も多いです。
ある転職成功者(30代男性、SIer→中小メーカー):
「年収は100万下がったけど、毎日18時に帰れる。子どもと夕飯食べられるし、週末も家族と過ごせる。俺にとっては最高の転職だった」
**④「一人で考えて判断するのが好き」な人
一人情シスは孤独ですが、裏を返せば「自分のペースで仕事ができる」ということ。
マイクロマネジメントされるのが嫌い、自分で考えて動きたい人には、むしろ快適な環境です。
**⑤「地元で働きたい」人
中小企業の社内SEは、地方でも求人があります。
「東京に出たけど、地元に戻りたい」という人にとって、社内SEは現実的な選択肢です。
向いていない人の特徴
①「最新技術を追いかけたい」人
繰り返しになりますが、中小企業の社内SEで最新技術に触れる機会はほぼゼロです。
具体的な業務例:
- Windows Server 2012(サポート切れ)の延命対応
- 10年前に作られたAccessデータベースの保守
- ガラケー時代のシステムとの連携
技術的な刺激を求める人には、退屈すぎる環境です。
**②「開発がメイン業務だと思っている」人
社内SEの開発業務は、基本的に「外注管理」です。
具体的な業務例:
- ベンダーに開発を依頼
- 進捗管理、仕様確認
- テスト立ち会い
- 受け入れ検査
自分でコードを書く時間は、全体の1割以下。開発したい人には物足りません。
③「年収アップを最優先する」人
中小企業の社内SEで年収を大きく上げるのは難しいです。
年収推移の現実:
- 1年目:400万円
- 5年目:480万円
- 10年目:550万円
昇給は緩やか。役職についても、劇的には上がりません。
④「チームで働きたい」人
一人情シスの場合、チームワークはありません。
具体的な状況:
- 相談相手がいない
- レビューしてくれる人がいない
- 孤独に判断し続ける日々
チームで切磋琢磨したい人には、孤独すぎる環境です。
⑤「ITで会社を変えたい」という理想が強い人
中小企業の多くは、ITに消極的です。
具体的な壁:
- 「今のままでいい」という経営層
- 予算を削られる
- 提案しても却下される
理想と現実のギャップに苦しむことになります。
向いていなくても活路があるケース
「自分、向いてないかも…」と思った人も、まだ諦めないでください。
活路①:スキルを広げてキャリアチェンジ
社内SEの経験は、ITコンサルやITマネージャーへの転職に活かせます。
「ユーザー視点でシステムを考えられる」経験は、ベンダー側にとって価値があります。
活路②:副業で技術を磨く
社内SEは定時で帰れるので、夜や週末に副業で開発をする人もいます。
「本業は安定収入、副業で技術を追求」というハイブリッド型のキャリアも可能です。
活路③:社内で新しいプロジェクトを立ち上げる
理解ある経営層なら、DXプロジェクトを提案して、自分で主導することもできます。
小さな成功体験を積み重ねて、社内での発言力を高める戦略です。
活路④:大手企業の社内SEに転職し直す
中小企業の社内SEが合わなければ、大手企業の社内SEに転職する道もあります。
大手なら:
- IT部門が複数人いる
- 予算も潤沢
- 最新技術に触れる機会もある
「中小の社内SE経験」は、大手への転職でもアピールポイントになります。
転職前に確認すべきポイント(後悔しないために)
もしこれから社内SEへの転職を考えているなら、以下を必ず確認してください。
①IT部門の人数 「一人情シスですか?」とストレートに聞く。一人体制なら、覚悟が必要。
②システムの現状 「使っているシステムは何ですか?」「オンプレですか、クラウドですか?」 レガシーシステムだらけなら、技術的には退屈。
③年収と残業時間 「平均残業時間は?」「年収のレンジは?」 定時で帰れても、年収が大幅に下がるなら生活が苦しい。
④ITへの投資方針 「年間のIT予算は?」「DXの取り組みは?」 投資に消極的な会社だと、やりがいを感じにくい。
⑤過去の社内SEの退職理由 「前任者はなぜ辞めたんですか?」 ここを濁す会社は要注意。
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