「SESへの転職を考えてるんだけど、ネットで調べたら『やめとけ』ばっかり出てきて不安になってる……」
転職サイトでSES企業の求人を見ていて、気になる案件を見つけた。未経験歓迎、研修充実、IT業界でキャリアを積める。条件も悪くない。でも、口コミサイトを見たら「客先常駐がきつい」「スキルが身につかない」「やめとけ」という声ばかり。
今の仕事に不満があって転職したいけど、SESに行って後悔したくない。でも、IT業界には興味がある。未経験でも入れる業界は限られてるし、SESも選択肢の一つだとは思う。ただ、本当に大丈夫なのか。
この記事では、SESへの転職で後悔する人の共通点、向いている人・向いていない人の特徴を、具体的な業務例を交えて解説していきます。口コミサイトでよく見る意見に対する現実的な補足も入れながら、あなたが冷静に判断できる材料を提供します。
読み終わる頃には、「自分はSESに転職すべきか、それとも別の道を探すべきか」が見えてくるはずです。
SES転職で後悔する人の共通点
まず、SESに転職して後悔している人には、明確な共通点があります。これを知っておくだけで、同じ轍を踏まずに済むかもしれません。
一つ目は、「客先常駐の実態を理解していなかった人」です。
SESは基本的に客先常駐です。これは頭では分かっていても、実際に働き始めると想像以上にストレスになります。
例えば、元営業職から転職した30代のAさんは、「毎日違う会社に出勤するのは営業と同じだから大丈夫だろう」と思っていました。でも実際は全く違いました。営業なら自分のペースで動けるけど、客先常駐は常に「お客様の会社の人間」として振る舞わなければいけない。自社には所属しているけど、実際には客先の一員として働く。この中途半端な立場が、想像以上に居心地が悪かったそうです。
朝は客先のオフィスに出勤し、昼休みも客先の人たちと過ごし、定時後も客先の飲み会に誘われることもある。でも、自分は「外部の人間」だという意識は常にある。この孤独感に耐えられず、1年で辞めてしまいました。
口コミサイトでは「客先常駐は奴隷みたい」という極端な意見も見られますが、現実的に補足すると、配属先によって大きく異なります。エンジニアを大切にしてくれる現場もあれば、雑に扱われる現場もある。ガチャ要素が強いのは事実です。
二つ目は、「案件ガチャのリスクを甘く見ていた人」です。
SESでは、どんな案件に配属されるかで仕事内容が180度変わります。最新技術に触れられる開発案件もあれば、ひたすらテストを繰り返すだけの単純作業もある。
元販売職から転職した27歳のBさんは、「プログラミングを学んで、Webアプリ開発がしたい」という夢を持ってSESに入社しました。研修では確かにプログラミングを学びました。でも、最初の配属先は大手金融機関のシステム保守。やることは、毎日決まった時間にサーバーの稼働状況をチェックして、エラーが出たらマニュアル通りに対処するだけ。プログラミングを書く機会はほとんどありませんでした。
「これじゃスキルが身につかない」と上司に相談しても、「まずは今の案件をきっちりこなして」と言われるだけ。結局、2年経ってもスキルアップできず、自己学習で身につけた知識を活かせる別の会社に転職しました。
口コミでは「SESはスキルが身につかない」とよく言われますが、これも現実的には半分正解、半分間違いです。案件次第です。成長できる案件に当たる人もいれば、単純作業ばかりの案件に当たる人もいる。入社前にどんな案件があるのかを具体的に聞いておくことが重要です。
三つ目は、「自社との関係性を軽視していた人」です。
客先常駐だと、自社のオフィスに行く機会はほとんどありません。月に1回の報告会だけ、という会社も珍しくない。自社の上司や同僚との関係が希薄になりがちです。
これの何が問題かというと、キャリア相談ができる相手がいなくなることです。客先では「外部の人間」だから深い相談はしにくい。自社の上司は月1回しか会わないから、日々の悩みを相談しにくい。結果、一人で抱え込んでしまう。
元事務職から転職した32歳のCさんは、配属先でパワハラまがいの扱いを受けていましたが、誰にも相談できませんでした。自社の上司に言っても「もう少し頑張って」と言われるだけ。客先の人間関係の中で孤立し、精神的に追い詰められて休職してしまいました。
口コミでは「SESの営業は使い捨て」という厳しい意見もありますが、これは会社による差が大きいです。エンジニアのキャリアを真剣に考えてくれる会社もあれば、とにかく案件に放り込むだけの会社もある。面接時に「キャリアサポート体制」について具体的に聞くべきです。
四つ目は、「給料の仕組みを理解していなかった人」です。
SESの給料は、基本的に「客先に請求する単価」から会社のマージンを引いた金額です。つまり、あなたのスキルが上がって単価が上がらない限り、給料も上がりません。
しかし、客先常駐だと、自分の働きが直接評価されにくい。客先からの評価は「問題なく業務をこなしている」程度で、具体的な成果が見えにくい。結果、何年働いても単価が上がらず、給料も横ばいということになりがちです。
元製造業から転職した29歳のDさんは、3年間同じ案件で働き、客先からの評価も悪くありませんでした。でも、給料は入社時からほとんど変わっていませんでした。理由を聞いたら、「あなたの単価は変わってないから」と言われたそうです。客先との契約単価が固定されていて、交渉もされていなかったのです。
口コミでは「SESは給料が安い」と言われますが、正確には「給料が上がりにくい仕組みになっている」です。自分で単価交渉を要求するか、スキルを上げて高単価案件に移るか、積極的に動かないと給料は上がりません。
五つ目は、「キャリアビジョンが曖昧だった人」です。
「とりあえずIT業界に入りたい」「未経験でも入れるから」という理由でSESを選んだ人は、後悔する確率が高いです。
なぜなら、SESは「どう使うか」次第で価値が変わる業界だからです。将来どうなりたいのか、どんなスキルを身につけたいのか、明確なビジョンがないと、流されるままに時間だけが過ぎていきます。
元飲食業から転職した25歳のEさんは、「IT業界なら将来性がある」と漠然と考えてSESに入りました。でも、実際に働き始めると、「このまま客先常駐を続けていいのか」「自分は何がしたいのか」が分からなくなりました。周りには目標を持って自己学習している人もいれば、惰性で働いている人もいる。自分がどちらになるべきか、判断できませんでした。
結局、3年働いた後、改めて自分のキャリアを見つめ直し、社内SEとして働ける事業会社に転職しました。「SESで学んだことは無駄ではなかったけど、もっと早く自分の軸を持つべきだった」と振り返っています。
SES転職に向いている人の特徴
では、どんな人ならSESで成功できるのか。向いている人の特徴を、具体的な業務例と共に見ていきましょう。
まず、「環境の変化を楽しめる人」です。
SESは案件が変わるたびに、職場も仕事内容も変わります。これをストレスと感じるか、刺激と感じるかで、向き不向きが分かれます。
例えば、営業職から転職した31歳のFさんは、客先常駐を「色々な会社のやり方を学べるチャンス」と捉えました。金融、製造、流通と、業界の異なる3つの現場を経験し、それぞれのシステム開発の特徴を理解しました。この経験が後に、フリーランスとして独立する際の大きな武器になったそうです。
具体的な業務例で言うと、Fさんは最初の現場で「金融系特有の厳格なセキュリティ要件」を学び、次の現場で「製造業の在庫管理システムの複雑さ」を知り、三つ目の現場で「小売業のスピード重視の開発スタイル」を経験しました。一つの会社にいたら絶対に得られない、幅広い知見を身につけることができました。
二つ目は、「自己学習ができる人」です。
SESでは、会社が手取り足取り教えてくれることは期待できません。案件で求められるスキルは自分で習得する必要があります。
元教員から転職した33歳のGさんは、配属先でPythonを使った業務が多かったため、業務後と週末を使ってPythonを独学しました。オンライン学習サイトで基礎を学び、実際の案件で使いながらスキルを磨きました。1年後には、そのスキルを評価されて、より高単価の機械学習案件に配属されることになりました。
具体的には、最初は簡単なデータ整形のスクリプトを書く仕事でしたが、自己学習でデータ分析やグラフ作成のスキルを身につけ、最終的には予測モデルの構築まで任されるようになりました。会社の研修ではなく、自分の努力で道を切り開いたのです。
三つ目は、「コミュニケーション能力が高い人」です。
客先常駐では、初めて会う人たちの中に一人で入っていく場面が多々あります。自分から積極的に話しかけたり、分からないことを質問したりできる人は、どんな現場でもうまくやっていけます。
元販売職から転職した26歳のHさんは、接客で培ったコミュニケーション能力を活かして、客先での人間関係構築が得意でした。新しい現場に配属されるたびに、まず周囲の人に挨拶をして回り、ランチにも積極的に誘われるように動きました。その結果、困ったときに助けてもらえる関係ができ、仕事もスムーズに進みました。
具体的な業務例では、システムの仕様が曖昧だったとき、Hさんは関係者に直接話を聞いて回り、要件を整理しました。技術力だけでなく、人とつながる力が評価され、次の案件でもリーダー的なポジションを任されるようになりました。
四つ目は、「目標が明確で逆算思考ができる人」です。
「3年後にはフリーランスになりたい」「5年後には自社開発企業に転職したい」といった明確な目標があり、そのためにSESをステップと位置づけている人は、無駄なく成長できます。
元事務職から転職した28歳のIさんは、「将来はWebエンジニアとして自社開発企業で働きたい」という目標を持っていました。そのために、SESではあえて「Web系の開発案件」を希望し、フロントエンドとバックエンドの両方を経験できる案件を選びました。営業担当には「この技術を学びたいので、関連案件があれば優先的に紹介してほしい」と明確に伝えました。
2年半で4つの案件を経験し、HTML/CSS/JavaScript、React、PHP、データベース設計など、Webエンジニアに必要な一通りのスキルを身につけました。そして計画通り、3年目で自社開発のスタートアップ企業に転職を成功させました。
SES転職に向いていない人の特徴
逆に、どんな人はSESを避けた方がいいのか。向いていない人の特徴も見ていきましょう。
一つ目は、「安定を最優先する人」です。
SESは案件ガチャの要素が強く、次にどんな仕事をするのか予測がつきにくい。同じ案件が長く続くこともあれば、数ヶ月で次の現場に移ることもある。この不安定さに耐えられない人には向いていません。
例えば、公務員から転職した34歳のJさんは、「毎日同じ場所で、同じメンバーと働く」ことに安心感を覚えるタイプでした。SESに転職して半年後、初めての案件が終了し、次の案件が決まるまで2週間の待機期間がありました。この「次が決まっていない不安」に耐えられず、結局、社内SEの求人に応募して転職しました。
具体的な業務で言うと、公務員時代は年間スケジュールが決まっていて、来年の今頃何をしているかも大体予想がつきました。でもSESでは、来月どこで何をしているかすら分からない。この不確実性がストレスになる人は多いです。
二つ目は、「受け身な性格の人」です。
SESでは、誰も手取り足取り教えてくれません。分からないことは自分から聞く、スキルが足りなければ自分で学ぶ、案件が気に入らなければ自分で交渉する。この主体性がないと、ただ流されるだけで成長できません。
元大手メーカー勤務の30歳のKさんは、前職では上司が細かく指示を出してくれる環境でした。でもSESに転職したら、「これやっといて」と丸投げされることが多く、何から手をつけていいか分からず困りました。質問しようにも、周りは忙しそうで声をかけづらい。結局、自分で調べる習慣がなかったKさんは、仕事が進まず評価も低くなってしまいました。
具体的な業務では、新しい開発ツールの使い方を覚える必要があったとき、前職なら研修があったり、先輩が教えてくれたりしました。でもSESでは「公式ドキュメント読んで」で終わり。自分で調べて、試して、分からなければ質問する。この自立性がないと厳しいです。
三つ目は、「人間関係を重視する人」です。
客先常駐では、深い人間関係を築きにくいです。自社の同期や先輩とは月に一度しか会わない。客先では「外部の人間」という壁がある。この孤独感に耐えられない人は、精神的に辛くなります。
元小売業から転職した24歳のLさんは、前職では仲の良い同期と毎日楽しく働いていました。SESに転職後、同期はそれぞれ別の現場に配属され、ほとんど会えなくなりました。配属先では年齢も経歴も違う人ばかりで、プライベートな話をする関係にはなれませんでした。仕事の相談をする相手もおらず、孤独を感じて半年で退職しました。
具体的な業務環境で言うと、前職では休憩時間に同僚と雑談したり、終業後に食事に行ったりする機会が多くありました。でもSESでは、休憩時間も一人、終業後もすぐ帰宅。人とのつながりを大切にしたい人には、この環境は辛いものです。
四つ目は、「プライドが高すぎる人」です。
客先常駐では、時に「下請け扱い」されることもあります。理不尽な指示や、雑な扱いを受けることもある。これを「勉強代」と割り切れる人はいいですが、プライドが傷つく人には耐えられません。
元大手企業の管理職だった38歳のMさんは、SESに転職後、年下の客先担当者から指示を受ける立場になりました。時には「これ、今日中にやっといて」と軽い口調で頼まれることもあり、前職でのプライドが邪魔をして素直に受け入れられませんでした。結局、「自分のキャリアにはふさわしくない」と判断し、早々に退職しました。
具体的には、会議で意見を言っても「外部の方の意見は参考程度に」と流されたり、重要な決定事項から外されたりすることがあります。これを「立場上仕方ない」と受け入れられるかどうかが分かれ道です。
向いていなくても活路があるケース
ただし、「向いていない」と感じても、すべてが終わりではありません。活路はあります。
一つ目は、「良い会社を選べば、デメリットを最小化できる」ケースです。
SES企業の中には、エンジニアファーストの会社もあります。定期的な面談でキャリア相談に乗ってくれる、案件の選択肢を複数提示してくれる、スキルアップのための研修や資格取得支援がある、といった会社です。
こういう会社を選べば、「受け身な性格」「人間関係重視」といった弱点も、ある程度カバーできます。会社選びの時点で、口コミサイトだけでなく、面接で具体的に質問することが重要です。
二つ目は、「SESを踏み台と割り切る」戦略です。
未経験からIT業界に入るには、SESは最も入りやすい選択肢の一つです。ここで2〜3年実務経験を積んで、スキルを証明できるポートフォリオを作り、次のステップとして自社開発企業や社内SEに転職する。この使い方なら、「安定志向」「プライド重視」の人でも納得できるかもしれません。
最初から「ここで一生働く」と思うのではなく、「キャリアのスタート地点」と位置づける。そう考えれば、多少の不満は我慢できるはずです。
三つ目は、「リモート案件を狙う」方法です。
最近は、客先常駐でもフルリモートの案件が増えています。これなら、毎日客先に出勤する必要がなく、孤独感も軽減されます。自宅で落ち着いて仕事ができるので、「環境の変化が苦手」「人間関係のストレスを避けたい」人には向いています。
会社によっては、リモート案件を多く扱っているところもあるので、最初からそういう会社を狙うのも一つの手です。
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