「QAエンジニアって、将来性あるのかな」
転職サイトの求人を眺めながら、そんな不安を抱えていませんか。開発エンジニアに比べて給料は低めだし、AIに仕事を奪われるんじゃないかという不安もある。でも、未経験からでも挑戦しやすそうだし、需要もありそう。そう思って情報を探しているけれど、出てくるのは転職エージェントの綺麗事ばかり。
「本当のところ、どうなの?」
その気持ち、よくわかります。私も数年前、同じような不安を抱えながらQAエンジニアへの転職を決めました。当時は「とりあえずIT業界に入れればいい」という気持ちが先行していて、QAという仕事の本質を理解していませんでした。
結果から言うと、私は転職して良かったと思っています。でも、同じタイミングで入社した同期の中には、半年で辞めていった人もいます。その違いは何だったのか。この記事では、QAエンジニアの将来性について、良い面も悪い面も含めて正直に書いていきます。
転職を考えているあなたが、後悔しない選択をするための判断材料になれば嬉しいです。
QAエンジニアに転職して後悔する人の共通点
まず、実際にQAエンジニアに転職して後悔している人たちには、いくつかの共通点があります。私が見てきた中で、特に多いパターンを紹介します。
「開発エンジニアへのステップ」だと思っていた人
これは本当に多いです。未経験からIT業界に入るために、まずQAから始めようと考える人。その発想自体は間違っていないのですが、問題は「QAはあくまで通過点」と考えているケースです。
実際には、QAエンジニアと開発エンジニアは全く別のスキルセットが必要です。QAで求められるのは、システム全体を俯瞰する視点、細部への注意力、ユーザー目線での思考、そして粘り強くバグを追跡する執念。一方、開発エンジニアに求められるのは、ロジックを組み立てる力、新しい技術への興味、コードを書く集中力です。
もちろん、QAから開発に転向する人もいます。でも、それは「QAの経験を活かして開発もできるようになった」というケースであって、「QAをやりながら開発の勉強をして転向した」というケースがほとんどです。QAの仕事自体が開発スキルを直接育ててくれるわけではありません。
ある同僚は、「QAをやっていればプログラミングも自然と身につくと思ってた」と言って、半年後に退職しました。彼は毎日テストケースを書いて、バグを見つけて、報告書を作成していましたが、コードを書く機会はほぼゼロでした。当然です。それがQAの仕事なのですから。
もしあなたが「QAから始めて、いずれは開発エンジニアになりたい」と考えているなら、それは別々の目標として考えた方がいいです。QAとしてのキャリアを積むのか、開発エンジニアになりたいのか。この二つを混同すると、後悔につながります。
「テストだけやっていればいい」と思っていた人
逆に、こういう人もいます。「QAエンジニアって、言われた通りにテストするだけでしょ?楽そう」という認識です。
これは大きな誤解です。
確かに、QAの中には単純作業に近い部分もあります。でも、それは仕事のほんの一部でしかありません。本当に価値のあるQAエンジニアがやっているのは、もっと高度な仕事です。
仕様書を読み込んで、開発者が見落としている矛盾点を指摘する。ユーザーの使い方を想像して、想定外の操作パターンを洗い出す。過去の不具合データを分析して、リスクの高い箇所を予測する。自動テストのスクリプトを書いて、効率化を図る。
ある新人は、「マニュアル通りにボタンを押すだけだと思ってた」と言っていました。でも実際には、そのマニュアル自体を作る必要がありました。仕様書は曖昧で、どこまでテストすればいいのか自分で判断しなければならない。その判断ができなくて、彼は苦しんでいました。
QAエンジニアは、指示待ちではできない仕事です。自分で考えて、リスクを予測して、優先順位をつけて、効率的にテストを進めていく。その能力がないと、ただの作業者として扱われてしまいます。
給料が開発エンジニアと同じだと期待していた人
これは現実を見ていないケースです。QAエンジニアの給与水準は、一般的に開発エンジニアよりも低めです。これは業界全体の傾向として、否定しようがありません。
転職サイトの求人を見ればわかりますが、未経験からQAエンジニアになった場合、初年度の年収は300万円から400万円程度が相場です。3年から5年の経験を積んでも、500万円から600万円くらいでしょう。一方、開発エンジニアなら、同じ経験年数で600万円から800万円を狙える可能性もあります。
もちろん、QAでも専門性を高めれば高収入を得られます。テスト自動化のスペシャリストになったり、セキュリティテストの専門家になったり、QAマネージャーとしてチームを率いるようになれば、年収700万円から1000万円も不可能ではありません。でも、それは一握りの人たちです。
「IT業界なら高収入」という漠然としたイメージで転職すると、給料面でがっかりすることになります。QAを選ぶなら、その給与水準を受け入れた上で、他の価値を見出せるかどうかが重要です。
ワークライフバランスを求めすぎた人
「QAなら残業少なそう」「開発よりは楽でしょ」。そう思って転職してくる人がいます。
半分は正解で、半分は不正解です。
確かに、開発エンジニアに比べれば、深夜までコードを書き続けるような激務は少ないかもしれません。でも、リリース前のテスト期間は地獄です。
開発が遅れれば、そのしわ寄せはQAに来ます。「リリース日は変えられないから、テスト期間を短縮してくれ」と言われる。本来一週間かけるべきテストを三日でやらされる。当然、残業が増えます。しかも、バグが見つかれば、その検証も必要です。
ある時期、私は二週間連続で終電帰りでした。リリース直前に重大なバグが見つかり、開発チームが修正する度に再テストが必要になる。金曜の夜に「月曜までに確認してくれ」と言われて、週末も出勤したこともあります。
もちろん、会社やプロジェクトによります。ワークライフバランスが取れている現場もたくさんあります。でも、「QAなら楽」という期待は裏切られる可能性が高いです。
自分で学ぶ意欲がない人
これは致命的です。
QAの仕事は、常に新しい知識が必要です。テストツールは日々進化していますし、テスト手法も更新されています。アジャイル開発、DevOps、CI/CDといった開発プロセスの変化にも対応しなければなりません。
「教えてもらえると思ってた」という人は、すぐに置いていかれます。
私の後輩で、入社後に何も勉強しなかった人がいました。業務時間中は言われたことだけをやり、帰宅後は趣味に没頭。半年後、自動テストの導入が決まった時、彼は全くついていけませんでした。周りは独学でSeleniumやJenkinsを学んでいたのに、彼は何も準備していなかったのです。
結局、彼は「自分には向いていない」と言って転職していきました。でも、本当は向いていないのではなく、努力しなかっただけだと私は思います。
QAエンジニアの将来性についての現実
ここで、多くの人が気にしている「将来性」について話します。
口コミサイトでよく見かけるのは、こんな意見です。
「AIがテストを自動化するから、QAエンジニアは不要になる」 「開発エンジニアに比べて市場価値が低い」 「キャリアパスが見えない」
これらの意見、完全に間違っているわけではありません。でも、一面的すぎます。
AIとQAの未来
確かに、AIによるテスト自動化は進んでいます。でも、AIがすべてのテストを代替できるわけではありません。
AIが得意なのは、パターン化できる作業です。同じ操作を繰り返すこと、大量のデータから異常を見つけること、過去の不具合パターンから予測すること。これらは確かにAIが人間より優れています。
でも、AIにはできないことがあります。
それは、「ユーザーの気持ちになって考える」ことです。
例えば、新しいアプリの画面を見た時、「このボタン、押しにくそう」「この文言、誤解を招くかも」と感じる感覚。これは人間にしかできません。AIは機能が動くかどうかは確認できても、使いやすいかどうかは判断できないのです。
また、仕様の矛盾を見つけるのも人間の役割です。「この機能とあの機能、組み合わせたら変な動きになりそう」という予測は、経験と想像力が必要です。
つまり、AIが進化すればするほど、人間のQAエンジニアは「単純作業」から解放されて、より高度な判断業務に集中できるようになります。これは、将来性がないどころか、むしろ価値が高まるということです。
ただし、条件があります。それは、「AIを使いこなせるQAエンジニア」になることです。自動化ツールを導入して、設定して、結果を分析して、改善する。この能力がない人は、確かに淘汰されるでしょう。
市場価値について
「QAエンジニアは市場価値が低い」という意見もよく見ます。
これは、半分正解です。
単純なテスト実行しかできないQAエンジニアの市場価値は、確かに高くありません。でも、専門性の高いQAエンジニアの需要は、むしろ増えています。
特に、こういった分野です。
セキュリティテスト:サイバー攻撃が増える中、セキュリティの脆弱性を見つけられる人材は貴重です。
パフォーマンステスト:システムの負荷を測定して、ボトルネックを特定できる人は少ないです。
モバイルアプリテスト:iOS、Android両方の特性を理解して、デバイス固有の問題を見つけられる人。
APIテスト:マイクロサービス化が進む中、API間の連携テストができる人。
これらの専門性を持ったQAエンジニアは、開発エンジニアと同等か、それ以上の年収を得ています。
要するに、「QAエンジニア」という括りで将来性を語るのは無意味です。どんな専門性を持ったQAエンジニアになるか、それが将来性を決めます。
キャリアパスについて
「QAのキャリアパスが見えない」という不安もよく聞きます。
確かに、開発エンジニアに比べると、QAのキャリアパスは見えにくいかもしれません。開発なら、「ジュニア→シニア→リードエンジニア→アーキテクト」という道筋がわかりやすいですからね。
でも、QAにもキャリアパスはあります。いくつか紹介しましょう。
QAスペシャリスト:特定分野の専門家として、高度なテストを担当する。
QAリード:チームのテスト戦略を立案し、メンバーを指導する。
テストマネージャー:プロジェクト全体のテスト計画を管理する。
品質保証マネージャー:開発プロセス全体の品質を管理する。
SDET(Software Development Engineer in Test):テスト自動化のためのツール開発を担当する。
プロダクトマネージャー:品質の視点を活かして、プロダクト全体の方向性を決める。
実際、私の知り合いには、QAからプロダクトマネージャーになった人がいます。彼は「QAとして様々な機能を見てきたことで、プロダクト全体を俯瞰する力がついた」と言っていました。
QAエンジニアに向いている人の特徴
では、どんな人がQAエンジニアに向いているのか。具体的に見ていきましょう。
細かいことに気づける人
これは絶対条件です。
画面のボタンの位置が1ピクセルずれている、文字の色が微妙に違う、エラーメッセージの句読点が抜けている。こういった細部に気づける人は、QAに向いています。
私の同僚に、驚くほど細かいことに気づく人がいます。ある日、彼は「このページ、前より0.2秒遅い気がする」と言い出しました。周りは「気のせいでしょ」と笑っていましたが、調べてみると本当に遅くなっていました。データベースのクエリが非効率になっていたのです。
この「違和感に気づく力」は、バグを見つける上で最も重要なスキルです。
ユーザー目線で考えられる人
開発者は、どうしても「作り手の視点」になります。でも、実際に使うのはユーザーです。
「このボタン、どこにあるか分からないんじゃないか」 「この手順、面倒くさすぎないか」 「エラーが出た時、ユーザーはどうすればいいか分からないんじゃないか」
こういう視点で考えられる人は、QAに向いています。
ある時、私たちのチームが開発していたアプリで、こんなことがありました。設定画面に新機能が追加されたのですが、その説明文が専門用語だらけでした。開発者は「これで十分わかる」と言っていましたが、QAメンバーの一人が「うちの母親だったら、絶対意味が分からない」と指摘しました。
結果、説明文を書き直したところ、リリース後のサポート問い合わせが大幅に減りました。
コミュニケーション能力がある人
意外かもしれませんが、QAにはコミュニケーション能力が必要です。
バグを見つけた時、開発者にどう伝えるか。「ここがおかしい」と一方的に指摘するのではなく、「こういう操作をしたら、こうなりました。期待していたのはこういう動きです」と具体的に説明する必要があります。
また、優先順位の交渉も重要です。リリース前に20個のバグが残っていたとして、すべて直す時間はない。どれを優先するか、開発チームやプロダクトマネージャーと話し合う必要があります。
私が尊敬しているQAリードは、この交渉が本当に上手です。「このバグは見た目の問題だけど、このバグは決済に関わるから絶対に直すべき」と、ビジネスインパクトを説明して、開発チームを納得させます。
論理的に考えられる人
バグの原因を特定するには、論理的な思考が必要です。
「Aという操作をした時だけエラーが出る」 「でも、Bという操作では出ない」 「ということは、AとBの違いは何か」
こういう推理ができる人は、QAに向いています。
ある複雑なバグがあって、再現条件が全くわからないことがありました。ランダムで発生するように見えたのです。でも、ある同僚が丁寧にログを分析して、「特定のユーザーグループでのみ発生する」ことを突き止めました。その仮説を検証したところ、見事にバグを再現できました。
このような論理的な分析能力は、QAの真骨頂です。
学び続けられる人
先ほども書きましたが、これは本当に重要です。
新しいツール、新しいテスト手法、新しい技術。常に学び続けられる人でないと、QAエンジニアとして生き残れません。
私自身、入社当初はSeleniumも知りませんでした。でも、自動テストの必要性を感じて、独学で勉強しました。最初は週末に数時間ずつ、チュートリアルを進めるところから始めました。
今では、自動テストの設計から実装まで一人でできるようになり、それが評価されて給料も上がりました。
学ぶ意欲がある人にとって、QAは成長できる環境です。
QAエンジニアに向いていない人の特徴
逆に、こんな人はQAに向いていないかもしれません。
すぐに結果を求める人
QAの仕事は、地味です。
コードを書いて新機能を実装する開発エンジニアと違い、QAが成果を実感しにくい場面もあります。バグを見つけても、それが直接的な評価につながるとは限りません。
「今日は10個のバグを見つけた!」と思っても、上司からは「もっと重要なバグを見つけてほしい」と言われることもあります。
成果が見えにくい、評価されにくいと感じた時、モチベーションを保てない人は苦しいでしょう。
大雑把な性格の人
細かいことを気にしない、おおらかな性格。それ自体は素晴らしいことですが、QAには向いていません。
「だいたい合ってればいいでしょ」という考え方では、バグを見逃します。
ある新人が、「このエラーメッセージ、日本語がちょっと変だけど、意味は通じるからいいですよね」と言ったことがあります。でも、それは「いい」わけがありません。ユーザーに見せる文章は、完璧でなければならないのです。
クリエイティブな仕事がしたい人
「自分のアイデアで新しいものを作りたい」という人には、QAは物足りないかもしれません。
QAの仕事は、基本的に「他人が作ったものを検証する」ことです。自分で何かを生み出すというより、既存のものを改善する役割です。
もちろん、テスト設計や自動化では創造性が求められます。でも、それでも「ゼロから何かを作る」楽しさとは違います。
単調な作業が苦手な人
QAには、どうしても単調な部分があります。
同じテストケースを何度も実行する、似たような画面で同じ操作を繰り返す。こういった作業が苦痛に感じる人には、向いていないでしょう。
ただし、自動化を進めれば、この問題は軽減できます。単調な作業を自動化して、自分はより高度な判断業務に集中する。そういう工夫ができる人なら、問題ありません。
対立を避けたい人
QAの仕事は、時に開発チームと対立します。
「このバグは直してほしい」「いや、仕様通りだから問題ない」
こういった議論を避けたい、波風を立てたくない性格の人には、QAは辛いかもしれません。
もちろん、対立する必要はありません。でも、言うべきことは言う勇気が必要です。品質を守るために、時には強く主張しなければならない場面もあります。
向いていなくても活路があるケース
ここまで読んで、「自分には向いてないかも」と思った人もいるでしょう。
でも、諦めるのはまだ早いです。一見向いていなさそうでも、活路が開けるケースもあります。
開発志向が強い人はSDETを目指す
「コードを書きたい」という気持ちが強い人は、SDET(Software Development Engineer in Test)を目指すといいでしょう。
SDETは、テスト自動化のためのツールやフレームワークを開発する仕事です。開発エンジニアとQAエンジニアの中間のような立ち位置で、プログラミングスキルを活かせます。
実際、開発志向の強いQAメンバーが、自動テストフレームワークを作り上げて、社内で高く評価されたケースを見てきました。
大雑把な性格の人はマネジメントへ
細かい作業が苦手でも、全体を見渡す力があるなら、マネジメントに向いています。
QAマネージャーは、個々のバグを見つけるより、テスト戦略を立てたり、リソース配分を決めたりすることが仕事です。大局的な視点が求められます。
「細かいことは得意なメンバーに任せて、自分は全体の方向性を決める」という役割なら、活躍できるでしょう。
クリエイティブな人はUXテストへ
「新しいものを作りたい」という気持ちが強い人は、UX(ユーザーエクスペリエンス)テストに注力するといいかもしれません。
UXテストは、「機能が動くか」ではなく「使いやすいか」を検証する仕事です。ユーザーインタビューを企画したり、A/Bテストを設計したり、改善提案をしたり。クリエイティブな要素が多いです。
ここから、UXデザイナーやプロダクトマネージャーへのキャリアチェンジも可能です。
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