「あの優秀な社員が戻りたいと言ってきた…受け入れるべきだろうか?」 「出戻り採用を検討しているけど、どんな人は避けるべき?」
近年、一度退職した社員を再雇用する「出戻り採用(ブーメラン採用)」が注目されています。即戦力として期待できる一方で、安易に受け入れると組織に深刻なダメージを与えるケースも少なくありません。
この記事では、人事担当者や経営者の視点から「絶対に出戻りさせてはいけない退職者の特徴」を徹底解説します。また、出戻りを検討している方にとっても、自分が企業側からどう見られるかを知る貴重な判断材料となるはずです。
記事を読めば、出戻り採用の成功と失敗を分ける明確な基準が分かり、適切な判断ができるようになります。
出戻り採用とは?増加する背景と現状
出戻り採用(カムバック採用・ブーメラン採用)とは、一度退職した元社員を再び雇用する制度です。
なぜ今、出戻り採用が増えているのか:
人材不足が深刻化する中、企業にとって即戦力となる元社員の再雇用は魅力的な選択肢です。新卒採用や中途採用と比べて、以下のメリットがあります。
・業務内容や企業文化を既に理解している ・研修コストを大幅に削減できる ・即戦力として短期間で成果を出せる ・採用のミスマッチリスクが低い
実際に、リクルートの調査によると、従業員300名以上の企業の約4割が出戻り採用制度を設けているとされています。メルカリやサイボウズなど、大手企業でも公式に「アルムナイ制度(卒業生制度)」として運用しています。
しかし、全ての出戻りが成功するわけではありません。
人事歴15年のAさん(45歳・製造業)はこう語ります。 「過去に5名の出戻り社員を受け入れましたが、そのうち2名は半年以内に再び退職しました。本人も周囲も不幸な結果でした。見極めが甘かったと反省しています」
では、具体的にどんな退職者は出戻りさせるべきでないのでしょうか。
絶対に出戻りさせてはいけない退職者の特徴7つ
特徴1:前回の退職理由が「人間関係のトラブル」だった人
なぜ避けるべきか: 人間関係の問題は、本人の性格や価値観に起因することが多く、環境が変わっても再発する可能性が高いためです。
具体例: 営業職のBさん(32歳)は、上司との衝突を理由に退職。2年後に「前の会社の方が良かった」と出戻りを希望しました。しかし、再雇用後も別の上司と同様のトラブルを起こし、周囲のモチベーションを下げる結果に。わずか8ヶ月で再度退職しました。
判断のポイント:
- 退職時に同僚や上司との明確な対立があったか
- 本人が問題の原因を他人のせいにしていないか
- 退職後に元職場の悪口を言いふらしていなかったか
単なる「合わなかった」程度なら問題ありませんが、訴訟沙汰やハラスメントの訴えがあった場合は特に慎重になるべきです。
特徴2:退職時に引き継ぎを放棄した人
なぜ避けるべきか: 引き継ぎの質は、その人の責任感とプロフェッショナリズムの指標です。退職時の対応が杜撰だった人は、再び同じことを繰り返すリスクが高いでしょう。
よくある失敗例: ITエンジニアのCさん(29歳)は、転職先が決まった途端、有給消化を理由に出社を拒否。重要なシステムのパスワードやドキュメントを残さず退職し、後任者が大混乱しました。
3年後、「前の職場環境が恋しい」と出戻りを申し出ましたが、当時の被害を受けた社員たちが強く反発。人事は断念せざるを得ませんでした。
判断のポイント:
- 退職時に十分な引き継ぎ期間を確保したか
- 後任者への丁寧な説明があったか
- 退職後も質問に答える姿勢があったか
特徴3:短期間で複数回転職を繰り返している人
なぜ避けるべきか: 出戻り希望者の中には、外の世界で通用せず「逃げ場」として戻ってくる人もいます。このタイプは根本的な問題を解決していないため、再び早期退職する可能性が高いです。
数字で見るリスク: 人事コンサルタントの調査では、退職後3社以上を1年以内に渡り歩いた人の出戻り後の定着率は約30%。つまり、70%が再び離職しています。
実際のケース: 販売職のDさん(27歳)は、A社退職後、B社→C社→D社と1年で3回転職。「やっぱりA社が一番良かった」と出戻りを希望しました。
しかし人事面談で分かったのは、どの職場でも「思っていたのと違った」と不満を持っていたこと。結局、キャリアビジョンが不明確で、腰を据えて働く覚悟がないと判断され、採用は見送られました。
判断のポイント:
- 退職後のキャリアに一貫性があるか
- 各職場での在籍期間は十分か(最低1年以上)
- 転職理由が「他責思考」になっていないか
特徴4:待遇面の不満だけで戻りたいと言う人
なぜ避けるべきか: 「給料が下がったから戻りたい」「前の職場の福利厚生が良かった」など、条件面だけを理由にする人は、モチベーションが続きません。より良い条件が提示されれば、また簡単に転職します。
人事担当者の本音: 大手メーカー人事部長のEさん(50歳)は言います。 「面接で『年収が50万円下がって後悔している』とストレートに言われたことがあります。正直でいいのですが、それだけが理由なら、またすぐ辞めるでしょう。仕事への情熱や成長意欲が感じられませんでした」
判断のポイント:
- 仕事の内容ややりがいについて語れるか
- 前職での学びや成長を振り返れるか
- 単なる「条件の比較」だけで判断していないか
逆に、「前の職場でやり残したプロジェクトがある」「チームに貢献したい」など、内発的動機がある人は歓迎すべきです。
特徴5:在職中に会社の機密情報を漏らした疑いがある人
なぜ避けるべきか: これは論外です。信頼関係の根幹を揺るがす行為であり、再雇用すれば組織全体のセキュリティリスクとなります。
深刻な事例: コンサルティング会社のFさん(35歳)は、退職後すぐに競合他社に転職。元職場の顧客リストを活用していた疑いが浮上しました。法的措置も検討されましたが、証拠不十分で立件には至らず。
2年後、「前の会社の方が働きやすかった」と出戻りを打診してきましたが、当然ながら即座に却下されました。
判断のポイント:
- 退職後の行動に不審な点はなかったか
- 競合他社への転職だった場合、守秘義務は守られたか
- SNSなどで社内情報を漏らしていなかったか
特徴6:退職時に「会社批判」を社内外に拡散した人
なぜ避けるべきか: SNS時代において、会社の評判管理は極めて重要です。退職時に感情的に会社を批判した人は、再び同じことを繰り返すリスクがあります。
実際にあった事例: マーケティング職のGさん(30歳)は、退職時にTwitterで「ブラック企業だった」と実名で投稿。転職会議などの口コミサイトにも低評価を大量投稿しました。
1年半後、転職先が倒産し、出戻りを希望。しかし、採用チームは「企業イメージを傷つけた人物を再雇用すれば、他の社員への示しがつかない」と判断し、丁重に断りました。
判断のポイント:
- 退職後のSNS発信内容は適切だったか
- 口コミサイトへの投稿内容は客観的だったか
- 元同僚に対して会社の悪口を言いふらしていないか
建設的な批判と感情的な誹謗中傷は別物です。冷静に問題点を指摘できる人なら、むしろ貴重な人材かもしれません。
特徴7:「今の会社がダメだから」という消極的理由の人
なぜ避けるべきか: 「前の会社に戻りたい」ではなく「今の会社から逃げたい」という動機の人は、根本的な問題解決能力が不足しています。
見極めが難しいケース: システムエンジニアのHさん(33歳)は、一見すると優秀な経歴の持ち主でした。しかし、面接を進めると「現職でのプロジェクトがうまくいかず、前の職場なら安心して働ける」という発言が目立ちました。
人事は「困難から逃げる癖がある」と判断し、不採用に。案の定、Hさんはその後も短期間で転職を繰り返しているそうです。
判断のポイント:
- 「戻りたい理由」が明確でポジティブか
- 現職での課題にどう向き合ったか
- 自己成長への意欲があるか
出戻り採用で起きる組織への悪影響
絶対に出戻りさせてはいけない退職者を受け入れてしまうと、以下のような深刻な問題が発生します。
現職社員のモチベーション低下
「あの人は問題を起こして辞めたのに、なぜ戻れるの?」 「真面目に頑張っている自分たちは何だったのか」
こうした不満が組織に広がり、士気が下がります。
実際に、中小企業の経営者Iさん(48歳)はこう後悔しています。 「問題社員だったJさんを『人手不足だから』と安易に再雇用しました。すると、優秀な若手2名が『この会社に未来はない』と退職してしまいました。失ったものの方が大きかったです」
組織文化の崩壊
退職時にルールを守らなかった人、他人を批判した人を受け入れると「何をやっても許される」という空気が生まれます。
これは組織の規律を著しく損ない、真面目に働く社員ほど損をする環境を作ってしまいます。
採用・育成コストの無駄
出戻り社員が再び早期退職すれば、採用にかけた時間とコストが全て無駄になります。それなら、新しい人材に投資した方が建設的でしょう。
逆に「出戻り歓迎」される退職者の特徴
全ての出戻りが悪いわけではありません。以下のような人は、むしろ積極的に受け入れるべきです。
円満退職で、退職理由が明確かつ正当だった人
「キャリアアップのため」「家族の介護のため」など、誰もが納得できる理由で退職し、引き継ぎも完璧だった人は信頼できます。
成功事例: 営業マネージャーのKさん(38歳)は、家族の介護のため地元に戻る必要があり、涙ながらに退職。3年後、介護が一段落し、「またあのチームで働きたい」と連絡してきました。
元上司も元同僚も大歓迎し、復帰後はさらに成長した姿でチームをけん引しています。
外部で新しいスキルを習得してきた人
他社での経験を通じて、自社にない知識やスキルを身につけた人材は、組織にとって大きな財産です。
具体例: マーケティング担当のLさん(31歳)は、スキルアップのため大手広告代理店へ転職。デジタルマーケティングの最新手法を学び、3年後に出戻り。そのノウハウを活かし、売上を30%向上させる成果を上げました。
退職後も良好な関係を保っていた人
定期的に元同僚と食事に行く、会社のイベントに顔を出すなど、退職後も良好な関係を維持していた人は、組織への愛着が本物です。
出戻りを検討しているあなたへのアドバイス
もし、あなた自身が出戻りを考えているなら、以下の点を自問自答してください。
チェックリスト:あなたは歓迎される出戻り候補か?
□ 退職時、引き継ぎを完璧に行った □ 円満に退職し、誰とも揉めていない □ 退職理由は正当で、周囲も納得していた □ 退職後、会社の悪口を言っていない □ 外部で新しいスキルや経験を得た □ 「戻りたい理由」が明確でポジティブ □ 現職での課題から逃げていない □ 元同僚との関係が良好に保たれている
5つ以上にチェックがついた方: 出戻りを前向きに検討しても良いでしょう。ただし、必ず事前に信頼できる元上司や元同僚に相談してください。
3つ以下の方: 残念ながら、出戻りは難しい可能性が高いです。今の職場で成果を出すか、別の新しい職場を探す方が建設的でしょう。
出戻りを申し出る前にすべきこと
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元上司に非公式に相談する いきなり人事に連絡するのではなく、まず信頼できる元上司に「戻りたい」という意思を伝えましょう。組織の現状や受け入れ可能性を教えてくれるはずです。
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自分の市場価値を冷静に分析する 「戻りたい」のは、本当に前の職場が良かったからですか? それとも、今の環境が辛いだけですか? 転職エージェントに相談し、客観的な意見を聞くことも重要です。
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退職時の問題を清算する もし退職時に何か問題があったなら、まずそれを謝罪し、解決する姿勢を見せましょう。「あの時は申し訳ありませんでした」という一言が、道を開くこともあります。
人事担当者が出戻り採用で重視する3つの基準
最後に、人事の視点から見た出戻り採用の判断基準をお伝えします。
基準1:組織への貢献度
「この人が戻ることで、組織にプラスがあるか?」
単に「人手不足だから」ではなく、明確な貢献が期待できるかを重視します。
基準2:現社員への影響
「既存社員が納得し、前向きに受け入れられるか?」
反発が予想される場合、たとえ優秀な人材でも採用を見送ることがあります。
基準3:再離職のリスク
「また辞める可能性はどれくらいか?」
前回の退職理由、退職後のキャリア、出戻り希望理由などから総合的に判断します。
人事歴20年のベテランMさん(52歳)はこう語ります。 出戻り採用は、通常の中途採用以上に慎重になります。一度失敗した関係を修復するわけですから、相互の信頼と覚悟が必要です。安易に進めると、必ず後悔します。
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