「入社してまだ1ヶ月だけど、この会社でやっていける自信がない」「試用期間中だけど、もう辞めたい」
そんな悩みを抱えていませんか。実は、試用期間で辞める人は決して珍しくありません。でも、「すぐ辞めたら次の転職に響くのでは」「我慢すべきなのでは」と不安になる気持ち、よく分かります。
この記事では、転職支援の現場で数多くのケースを見てきた経験をもとに、試用期間で辞める人の実態、辞めるべきかどうかの判断基準、そして辞めた後の転職活動への影響まで、具体的にお伝えします。
読み終わる頃には、あなたが今抱えている不安が整理され、次に取るべき行動が明確になっているはずです。
試用期間で辞める人は実際どれくらいいるのか
まず知っておいてほしいのは、試用期間で辞める人は意外と多いという事実です。
厚生労働省の調査データや人材サービス各社の統計を見ると、新卒・中途を含めて、入社後3ヶ月以内に退職する人は全体の約10〜15%と言われています。つまり、10人入社したら1〜2人は試用期間中に辞めているという計算になります。
特に中途採用の場合、入社前の期待と実際の業務内容や職場環境とのギャップが大きいケースが多く、試用期間での退職率は新卒よりも高い傾向にあります。
私が転職相談を受けてきた中でも、「入社2週間で辞めた」という方から「試用期間最終日に退職を申し出た」という方まで、様々なタイミングで決断した人たちがいました。
あるITエンジニアの方は、入社してわずか10日で退職を決意しました。理由は、求人票には「最新技術を使った開発」と書かれていたのに、実際には古いシステムの保守がメイン業務で、スキルアップの機会がまったくなかったからです。
また、営業職として入社した20代女性は、試用期間1ヶ月で退職を決めました。面接では「チームで協力しながら」と言われていたのに、実際には完全な個人主義で、上司からのサポートもほぼゼロ。毎日ノルマに追われるだけの日々に耐えられなかったそうです。
こうした例を見ても分かるように、試用期間で辞めることは決して「忍耐力がない」「甘え」ではありません。むしろ、早期に自分に合わない環境を見極め、キャリアの軌道修正をしたという前向きな判断とも言えます。
試用期間で辞める主な理由トップ7
では、実際に試用期間で辞める人は、どんな理由で退職を決意するのでしょうか。転職相談の現場でよく聞く理由をランキング形式でまとめました。
第1位:聞いていた仕事内容と実際の業務が違う
これが圧倒的に多い理由です。「企画職」と聞いていたのに実際はデータ入力ばかり、「マネジメント候補」のはずが単純作業要員だった、など、求人内容と現実のギャップに失望するケースです。
ある30代男性は、「Webマーケティング担当」として入社したものの、実際にはチラシ配りや電話営業がメイン業務でした。デジタルマーケティングのスキルを磨きたくて転職したのに、これでは前職の方がマシだったと、入社3週間で退職を決意しました。
第2位:社風や職場の雰囲気が合わない
面接では明るく感じた職場が、実際には陰湿な人間関係だった、風通しの良い社風と聞いていたのに実は体育会系のトップダウンだった、といったケースです。
20代後半の女性事務職の方は、入社初日から先輩社員たちの派閥争いに巻き込まれ、誰についても誰かから睨まれるという状況に疲弊。「毎日出社するのが苦痛」と、2ヶ月で退職しました。
第3位:労働条件が求人票と異なる
残業時間、休日出勤、給与体系などが、聞いていた内容と違うパターンです。これは明確な労働契約違反の可能性もあります。
ある営業職の方は、「残業月20時間程度」という説明だったのに、実際には毎日終電まで働き、月80時間以上の残業が常態化していました。さらに、休日出勤も当たり前で、体調を崩す前に退職を決断したそうです。
第4位:上司や同僚との人間関係
直属の上司からのパワハラ、同僚からの無視や嫌がらせなど、人間関係のトラブルも大きな理由です。
入社1ヶ月の男性社員は、上司から毎日のように「使えない」「前の会社で何やってたんだ」と罵倒され、精神的に追い詰められました。周囲も見て見ぬふり。これ以上我慢しても何も良くならないと判断し、試用期間での退職を選びました。
第5位:給与や待遇への不満
提示された給与が実際には残業代込みの金額だった、賞与や手当の条件が聞いていた内容と違った、などのケースです。
ある事務職の女性は、月給25万円と聞いていたのに、実際には基本給18万円+固定残業代7万円という内訳でした。固定残業時間は月45時間。これでは生活設計が狂うと、入社1ヶ月半で退職を決めました。
第6位:スキルアップや成長の機会がない
若手や中堅の転職者に多い理由です。将来のキャリアを考えたとき、この会社にいても成長できないと判断するケースです。
20代のWebデザイナーは、「最新のツールを使った制作」と聞いていたのに、実際には単純な修正作業ばかり。クリエイティブな仕事はベテラン社員が独占し、自分は雑用係のような扱い。このままでは市場価値が下がると危機感を持ち、試用期間で退職しました。
第7位:会社の将来性への不安
入社してみて初めて、会社の経営状態が危ういことが分かったというケースです。取引先からの未入金が続いている、主力商品の売上が激減している、などの情報を知ってしまった場合です。
ある営業職の男性は、入社後に「実は資金繰りが厳しい」「給与遅配の可能性もある」という話を社内で耳にし、将来が不安になって試用期間で退職しました。
試用期間で辞めるメリットとデメリットを冷静に比較
試用期間で辞めることには、メリットとデメリットの両面があります。感情的に判断するのではなく、冷静に比較検討することが大切です。
試用期間で辞めるメリット
早期に軌道修正できる
合わない会社で我慢し続けるより、早めに見切りをつけて次を探す方が、キャリア全体で見れば有利です。時間は有限ですから、自分に合う環境を探す時間に使った方が建設的です。
精神的・肉体的なダメージを最小限にできる
パワハラやブラックな労働環境で無理を続けると、心身の健康を害します。うつ病など深刻な状態になる前に退職することで、回復も早くなります。
履歴書に書かなくても許容されるケースがある
試用期間中の短期退職は、場合によっては履歴書に記載しなくても法的に問題ないとされています。特に数週間程度の在籍であれば、空白期間として扱う人も多いです。
退職のハードルが低い
試用期間は企業側も従業員側も「お試し期間」という位置づけです。正社員として長く働いた後よりも、心理的にも手続き的にも退職しやすい時期と言えます。
試用期間で辞めるデメリット
転職活動で説明が必要になる
短期退職の事実は、次の面接で必ず聞かれます。納得できる説明ができないと、不利になる可能性があります。
「またすぐ辞めるのでは」と思われるリスク
採用担当者からは「忍耐力がない」「人間関係を築くのが苦手」といった懸念を持たれることがあります。
収入が途絶える不安
次の仕事が決まっていない状態で辞めると、生活費の心配が出てきます。失業保険も、自己都合退職だと給付制限期間があります。
社会保険や手続きが煩雑
短期間での転職は、社会保険の切り替えや年金の手続きなど、事務的な負担が増えます。
転職回数が増える
履歴書に記載する場合、転職回数が増えることになり、将来的に不利に働く可能性もあります。
私が相談を受けた中で印象的だったのは、入社2ヶ月で退職した28歳の女性のケースです。彼女は、デメリットを全て理解した上で、「それでもこの会社にいる方がデメリットが大きい」と冷静に判断しました。
理由は、毎日上司から人格否定の言葉を浴びせられ、既に不眠と食欲不振の症状が出ていたからです。「転職活動で不利になるかもしれないけど、健康を失ったらキャリアどころじゃない」という彼女の判断は、非常に理にかなっていました。
試用期間で辞める際の正しい手順と注意点
試用期間中に退職を決意したら、正しい手順で進めることが重要です。間違った辞め方をすると、後々トラブルになる可能性もあります。
退職の意思表示はいつまでに
試用期間中でも、民法上は退職の2週間前までに意思表示をすれば退職できます。ただし、会社の就業規則に「1ヶ月前」などの規定がある場合は、それに従うのが望ましいでしょう。
円満に進めたいなら、できるだけ早めに直属の上司に相談することをおすすめします。
退職理由の伝え方
正直に全てを話す必要はありませんが、相手を攻撃するような言い方は避けましょう。
良い例:「入社前に期待していた業務内容と実際の仕事にギャップを感じ、自分のキャリアプランと合わないと判断しました」
避けたい例:「この会社は求人詐欺だ」「上司がパワハラばかりで最悪」
退職届は必要か
口頭での意思表示だけでも法的には有効ですが、トラブル防止のために退職届を提出することをおすすめします。シンプルに「一身上の都合により」で十分です。
引き継ぎはどうする
試用期間中とはいえ、担当していた業務がある場合は、最低限の引き継ぎを行いましょう。「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、できる範囲で誠実に対応することが、あなた自身の評判にもつながります。
社会保険や年金の手続き
健康保険証は退職時に返却し、国民健康保険に切り替えるか、任意継続を選択します。年金も国民年金への切り替えが必要です。市役所や年金事務所で手続きを忘れずに。
離職票と源泉徴収票の受け取り
これらの書類は、次の転職活動や年末調整で必要になります。退職時に必ず受け取る、または郵送してもらう手配をしましょう。
ある方は、試用期間2週間で退職を決めた際、上司に「急で申し訳ないのですが、体調面と家庭の事情で継続が難しくなりました」と伝えました。詳細は語らず、でも誠実な態度で臨んだ結果、引き止められることもなくスムーズに退職できたそうです。
試用期間退職が次の転職活動に与える影響
多くの人が最も不安に感じるのが、「試用期間で辞めたら、次の転職活動で不利になるのでは」という点でしょう。
正直に言うと、まったく影響がないとは言えません。しかし、説明の仕方次第で、マイナス要素を最小限に抑えることは可能です。
履歴書・職務経歴書に書くべきか
在籍期間が数週間程度であれば、記載しないという選択肢もあります。ただし、雇用保険に加入していた場合や、次の会社で源泉徴収票の提出を求められた場合は、事実が判明します。
基本的には、1ヶ月以上在籍した場合は記載する、それ以下は状況に応じて判断する、というのが一般的な考え方です。
迷ったら、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。業界や企業によって判断が異なるため、プロの意見を聞くことで適切な対応ができます。
面接での説明方法
試用期間退職を履歴書に記載した場合、面接で必ず理由を聞かれます。ここでの説明が非常に重要です。
効果的な説明のポイント:
事実を簡潔に述べる:「入社前に聞いていた業務内容と実際の仕事が大きく異なり、自分のキャリアプランと合わないと判断しました」
感情的にならない:「会社が悪い」「上司がひどかった」という言い方ではなく、冷静に事実を伝える
前向きな理由を添える:「より自分のスキルを活かせる環境で成長したいと考え、決断しました」
その経験から学んだことを伝える:「今回の経験で、企業選びの際に確認すべきポイントが明確になりました」
ある29歳の男性は、面接でこう説明しました。
「前職は営業職として入社しましたが、実際には飛び込み営業が中心で、私が経験してきた法人向けコンサルティング営業とは大きく異なりました。早期に判断したことで、自分の強みを活かせる環境を探す時間ができたと前向きに捉えています。御社の求める営業スタイルは、まさに私の経験とマッチしており、貢献できる自信があります」
この説明により、彼は次の転職先から内定を得ることができました。
企業側の本音
採用担当者の立場から言えば、試用期間での退職は確かにマイナス要素ですが、それが全てではありません。
むしろ、「明らかなミスマッチなのに無理に続けるより、早期に判断して次を探す方が健全」と考える採用担当者も多いのです。
特に、以下のケースでは理解を示す企業が多い傾向にあります。
- 労働条件が求人内容と明らかに異なった場合
- パワハラやセクハラなどハラスメントがあった場合
- 会社の経営状態が危機的だと判明した場合
- 業務内容が専門性を活かせないものだった場合
大切なのは、「なぜ辞めたか」よりも「その経験から何を学び、次にどう活かすか」です。
試用期間で辞めるべきか判断する7つのチェックポイント
「辞めたい」という気持ちはあるけど、本当に辞めるべきなのか迷っている。そんなあなたのために、判断基準となるチェックポイントをまとめました。
チェック1:健康に悪影響が出ているか
不眠、食欲不振、頭痛、めまい、動悸など、明らかな身体症状が出ている場合は、すぐに退職を検討すべきです。健康を失ったら、キャリアもお金も意味がありません。
チェック2:改善の余地はあるか
今抱えている問題は、時間が経てば改善される可能性があるのか、それとも構造的な問題で変わらないのか。上司に相談して改善される問題なら、まず相談してみる価値はあります。
チェック3:期待とのギャップは許容範囲か
完璧な職場は存在しません。多少のギャップは誰もが経験します。問題は、そのギャップがあなたのキャリアにとって致命的かどうかです。
チェック4:金銭的に退職できる状況か
貯金や次の仕事の見通しなど、経済的な準備はできているでしょうか。勢いで辞めて生活に困るようでは、転職活動にも悪影響です。
チェック5:他の選択肢を検討したか
部署異動、勤務形態の変更、業務内容の相談など、退職以外の解決策はないか考えましたか。
チェック6:家族や信頼できる人に相談したか
一人で抱え込まず、客観的な意見を聞くことは重要です。感情的になっているときは、冷静な判断ができないこともあります。
チェック7:3ヶ月後、1年後の自分を想像できるか
この会社で3ヶ月後、1年後の自分がどうなっているか想像してみてください。成長している姿が想像できないなら、早めの決断も選択肢です。
このチェックリストで、5つ以上が「辞めるべき」方向を示しているなら、真剣に退職を検討する時期かもしれません。
試用期間退職に関するよくある質問
試用期間で辞めることについて、よく寄せられる質問にお答えします。
試用期間なら即日退職できる?
いいえ、試用期間中でも法律上は2週間前の通知が必要です。ただし、会社と合意すれば即日退職も可能です。パワハラなど緊急性の高い理由がある場合は、労働基準監督署に相談することもできます。
試用期間中は給与が出ないって本当?
いいえ、試用期間中でも労働した分の給与は必ず支払われます。もし支払われない場合は、労働基準法違反です。
試用期間で辞めると失業保険はもらえない?
雇用保険に加入していた期間や条件にもよりますが、基本的には受給できます。ただし、自己都合退職の場合は2ヶ月の給付制限期間があります。
試用期間で辞めたことは次の会社にバレる?
源泉徴収票や雇用保険の記録でバレる可能性はあります。嘘をつくことはおすすめしません。正直に説明する準備をしておきましょう。
引き継ぎなしで辞めても大丈夫?
法律上は問題ありませんが、社会人としてのマナーとして、最低限の引き継ぎはすべきです。業界は意外と狭く、悪評が広まる可能性もあります。
まとめ|試用期間で辞めることは逃げではなく、キャリアの選択
試用期間で辞めることは、決して恥ずかしいことでも、逃げでもありません。自分に合わない環境を早期に見極め、より良い選択をするための勇気ある決断です。
大切なのは、感情的に決めるのではなく、冷静に状況を分析し、メリットとデメリットを比較した上で判断することです。
もしあなたが今、試用期間での退職を真剣に考えているなら、以下の点を最後に確認してください。
- 健康に深刻な影響が出ていないか
- 改善の余地は本当にないのか
- 退職後の生活基盤は大丈夫か
- 次の転職活動での説明は準備できているか
これらを全てクリアしているなら、前に進む時です。
実際、私が相談を受けた方々の多くは、試用期間での退職後、自分に合う環境で活躍しています。ある方は「あの時辞める勇気を持てて本当に良かった。今の会社では毎日が充実している」と話してくれました。
あなたのキャリアは、あなた自身が作るものです。他人の評価や世間体に縛られず、自分の人生にとって最善の選択をしてください。
そして、もし退職を決めたなら、その経験を次に活かすことを忘れないでください。「なぜ辞めたのか」ではなく「その経験から何を学び、どう成長したか」を語れるようになったとき、あなたはさらに強くなっているはずです。
試用期間での退職は、終わりではなく、新しいスタートです。前を向いて、一歩を踏み出してください。
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