「履歴書の学歴って、小学校から書くの?それとも高校から?」——転職活動を始めたばかりの人が必ず悩むのが、この学歴欄の書き方だ。
私が人事として履歴書を見てきた経験から言うと、学歴欄の書き方一つで「この人は社会人としての基本ができているか」が伝わってしまう。実際、中途採用の面接で「学歴の書き方が間違っている」という理由だけで、書類選考の段階で落とされたケースを何度も見てきた。
この記事では、履歴書の学歴欄について「どこから書くべきか」「どう書けば採用担当者に好印象を与えられるか」を、実例を交えながら解説する。読み終わる頃には、自信を持って履歴書が書けるようになるはずだ。
履歴書の学歴欄はどこから書くのが正解?
結論から言うと、一般的には「中学校の卒業」から書くのが基本だ。ただし、これは絶対的なルールではなく、状況によって変わる。
基本ルール:中学卒業から記載
厚生労働省が推奨する履歴書の様式では、義務教育である中学校の卒業から記載するのが標準とされている。これは、中学校までは義務教育であり、それ以降が自分の意思で選択した学歴だからだ。
書き方の例:
平成○○年3月 △△市立□□中学校 卒業
平成○○年4月 △△県立□□高等学校 入学
平成○○年3月 △△県立□□高等学校 卒業
平成○○年4月 □□大学△△学部××学科 入学
平成○○年3月 □□大学△△学部××学科 卒業
状況で変わる書き方
実は、「どこから書くか」は応募先企業や職務経歴によって柔軟に対応していい。以下のケースを参考にしてほしい。
1. 職歴が長い場合(社会人経験10年以上) 職歴欄のスペースを確保するため、高校卒業から書き始めても問題ない。採用担当者が重視するのは直近の職歴だからだ。
私が以前採用した40代の営業職は、高校卒業からの記載で、その分職歴を詳しく書いていた。面接では学歴について一切質問されず、職務内容と実績だけが評価された。
2. 新卒・第二新卒の場合 職歴が少ないため、中学卒業から丁寧に書くのが望ましい。学歴が評価の重要な要素になるからだ。
3. 履歴書のスペースが狭い場合 市販の履歴書によっては学歴欄が狭いものもある。その場合は高校入学から書いても構わない。ただし、中途半端にならないよう、「入学→卒業」のセットで記載する。
学歴の正しい書き方:採用担当者が見ている7つのポイント
学歴欄は単なる事実の羅列ではない。書き方一つで、あなたの「正確性」「丁寧さ」「社会人としての基礎力」が伝わる。
1. 正式名称で記載する
これは絶対に守るべきルールだ。略称は使わない。
NG例:
- ○○高校 → 正しくは「○○高等学校」
- ○○大 → 正しくは「○○大学」
- 附属高校 → 正しくは「○○大学附属高等学校」
私が見た失敗例で印象的だったのは、「早大」と書いていた応募者。採用担当者から「略称を使う人は、仕事でも手を抜くのでは」と言われていた。細かいようだが、こういう部分が評価を左右する。
2. 学部・学科まで正確に書く
大学・専門学校の場合は、学部・学科名まで記載する。
正しい例:
平成○○年4月 早稲田大学政治経済学部経済学科 入学
平成○○年3月 早稲田大学政治経済学部経済学科 卒業
学部・学科名は、あなたの専門性を示す重要な情報だ。特に技術職や専門職では、この情報が採用判断に直結する。
3. 元号か西暦か統一する
履歴書全体で、元号(平成・令和)と西暦(20○○年)のどちらかに統一する。混在させるのは厳禁だ。
統一の原則:
- 企業が指定している場合は、その指示に従う
- 指定がない場合は、どちらでもOK(ただし統一必須)
- 外資系企業や英語併記の履歴書では西暦が好まれる
実際にあった失敗例として、学歴欄は平成表記、職歴欄は西暦表記になっていた応募者がいた。「細かいことに気が回らない人」という印象を持たれ、書類選考で落ちた。
4. 入学と卒業をセットで書く
原則として、「入学」と「卒業」を両方記載する。これにより、留年や休学の有無が明確になる。
ただし、職歴が長く学歴欄のスペースが足りない場合は、卒業のみの記載でも許容される。その場合は全て統一すること。
5. 中退・留年は正直に書く
中退や留年は隠さず記載する。後で発覚すると経歴詐称になる可能性がある。
中退の書き方:
平成○○年4月 ○○大学△△学部 入学
平成○○年3月 ○○大学△△学部 中途退学
「中退」ではなく「中途退学」と書くのが正式だ。
私が採用に関わったケースで、大学中退を隠していた応募者がいた。内定後のバックグラウンドチェックで発覚し、内定取り消しになった。中退理由を正直に書き、その後の経験をアピールする方が遥かに好印象だ。
6. 予備校・塾は書かない
浪人時代の予備校や、資格取得のための通信講座は学歴欄には書かない。職業訓練校や公的な職業訓練プログラムも、基本的には職歴欄に記載する。
7. 「以上」で締める
学歴欄の最後は「以上」で締めくくる。これは「記載事項はここまで」という意味だ。
平成○○年3月 ○○大学△△学部 卒業
以上
ケース別:あなたの状況に合わせた書き方
実際の転職活動では、人それぞれ状況が異なる。ここでは、よくあるケースごとに書き方を解説する。
ケース1:転職回数が多く職歴欄が埋まる場合
悩み: 「職歴が5社以上あり、学歴まで詳しく書くとスペースが足りない」
解決策: 高校卒業から記載し、職歴を充実させる。または、学歴は卒業のみを記載する。
実例: 30代のITエンジニア(転職6回)は、大学卒業のみを記載し、職歴欄で各社での実績を詳しく記載した。面接では職務内容の質問が中心で、学歴について聞かれることはほとんどなかった。
ケース2:学歴にコンプレックスがある場合
悩み: 「高卒で、大学に行っていないことが引け目になる」
解決策: 学歴は事実を正確に書き、職歴や資格でアピールする。
実例: 高校卒業後すぐに就職した28歳の販売職の女性は、学歴欄は高校卒業までシンプルに記載。その代わり、職歴欄で「店舗売上前年比120%達成」「新人教育担当として5名育成」など具体的な実績を記載した。面接では「学歴よりも実務経験が豊富」と評価され、内定を獲得した。
学歴は変えられないが、これからの実績は積み上げられる。採用担当者が本当に見ているのは「この人は会社に貢献できるか」という点だ。
ケース3:専門学校や短大を卒業している場合
悩み: 「専門学校卒業をどう書けばいいか分からない」
解決策: 正式名称で、学科名まで記載する。
書き方例:
平成○○年3月 ○○県立△△高等学校 卒業
平成○○年4月 □□専門学校××科 入学
平成○○年3月 □□専門学校××科 卒業
専門学校の学科名は、あなたの専門性を示す重要な情報。特に技術職や専門職では、学科名が採用判断の材料になる。
ケース4:留学経験がある場合
悩み: 「交換留学や語学留学をどう書けばいいか」
解決策: 正規の学位を取得した留学は学歴欄に、短期留学は職歴欄の補足や自己PR欄に記載する。
学歴欄に書くべき留学:
- 海外の大学・大学院で学位を取得した場合
- 交換留学で単位を取得した場合(1年以上)
書き方例:
平成○○年4月 ○○大学△△学部 入学
平成○○年9月 アメリカ合衆国カリフォルニア大学ロサンゼルス校 交換留学(1年間)
平成○○年3月 ○○大学△△学部 卒業
私が採用した社員の中に、1年間の交換留学経験を学歴欄に記載していた人がいた。面接では「語学力」と「異文化適応力」が評価ポイントになった。
ケース5:大学院を修了している場合
書き方例:
平成○○年3月 ○○大学△△学部□□学科 卒業
平成○○年4月 ○○大学大学院△△研究科□□専攻 入学
平成○○年3月 ○○大学大学院△△研究科□□専攻 修了
注意点は「卒業」ではなく「修了」と書くこと。大学院の場合は「修了」が正式な表現だ。
採用担当者が学歴欄で本当に見ているポイント
人事として多くの履歴書を見てきた経験から、採用担当者が学歴欄でチェックしているポイントを紹介する。
1. 書き方の正確性
正式名称で書かれているか、誤字脱字がないか。これは「仕事でも正確な作業ができる人か」を見るための指標だ。
実際にあった失敗例:大学名を間違えて記載していた応募者がいた。「自分の出身校の名前を間違えるなんて」と、その時点で評価が下がった。
2. 時系列の整合性
入学・卒業の年度が正しいか、空白期間がないか。不自然な空白期間があると、面接で質問される。
空白期間がある場合は、理由を説明できるよう準備しておく。病気療養、資格取得のための勉強、家族の介護など、正当な理由であれば問題ない。
3. 学歴と職歴の関連性
専攻分野と職種の関連性。関連があれば「専門性がある」と評価される。関連がなくても、その理由を説明できれば問題ない。
私が採用した営業職の中に、工学部出身者がいた。「技術的な知識を持った営業は、顧客と深い会話ができる」という理由で採用された。
4. 継続性・安定性
転校や中退が多い場合、「継続力がない」と見られる可能性がある。ただし、家族の転勤など正当な理由があれば問題ない。
5. 成長の軌跡
最終学歴だけでなく、そこに至るまでの過程も見られている。特に、働きながら通信制大学を卒業した、社会人になってから資格を取得したなどは、「向上心がある」と高評価につながる。
よくある質問と回答
Q1. 小学校から書く必要はある?
A: 基本的には不要。ただし、職歴がほとんどない新卒の場合や、履歴書の様式で小学校からの記入欄がある場合は記載する。
Q2. 浪人・留年は書かなければいけない?
A: 入学と卒業の年度を正確に書けば、自然と分かる。隠す必要はないし、面接で質問されたら正直に答える。浪人や留年の経験から学んだことを話せれば、むしろプラスになる。
Q3. 学校名が変更になった場合はどう書く?
A: 卒業時点の正式名称で書く。必要に応じて括弧書きで旧校名を併記する。
例:
平成○○年3月 ○○大学△△学部 卒業(現:□□大学△△学部)
Q4. 職業訓練校は学歴に含まれる?
A: 公的な職業訓練校は学歴として記載できる。ただし、履歴書のスペースによっては職歴欄に記載する方が適切な場合もある。
Q5. 高校は県立・私立を書くべき?
A: 書くのが正式。「○○県立××高等学校」「○○学園××高等学校」など、設置者が分かるように記載する。
Q6. 通信制大学や夜間学部はどう書く?
A: 正式名称で記載する。「○○大学△△学部(通信教育課程)」「○○大学△△学部(第二部)」など。
働きながら学んだことは、むしろアピールポイントになる。面接で「仕事と勉強を両立した経験」を話せば、高評価につながる。
実際に評価された学歴欄の書き方実例
ここでは、実際に採用につながった学歴欄の書き方を紹介する。
実例1:転職回数が多い30代の場合
学歴
平成○○年3月 △△県立□□高等学校 卒業
平成○○年3月 ○○大学△△学部□□学科 卒業
以上
職歴を充実させるため、学歴は最小限に。卒業のみの記載で、スペースを確保した。面接では職務内容と実績が中心に質問され、学歴について聞かれることはなかった。
実例2:大学中退から成功した20代の場合
学歴
平成○○年3月 △△高等学校 卒業
平成○○年4月 ○○大学△△学部 入学
平成○○年3月 ○○大学△△学部 中途退学
平成○○年4月 □□専門学校××科 入学
平成○○年3月 □□専門学校××科 卒業
以上
大学中退を隠さず記載。面接では「大学での勉強が自分に合わず、より実践的な専門学校に進路変更した」と説明。その後の専門学校での学びと実務経験が評価され、内定を獲得。
実例3:社会人になってから学び直した40代の場合
学歴
昭和○○年3月 △△高等学校 卒業
平成○○年3月 ○○大学△△学部□□学科(通信教育課程) 卒業
以上
高校卒業後すぐに就職し、働きながら通信制大学を卒業。「向上心」と「継続力」が高く評価され、マネジメント職として採用された。
履歴書作成で失敗しないための最終チェックリスト
学歴欄を書き終えたら、以下のポイントを確認しよう。
- [ ] 中学卒業(または高校卒業)から記載しているか
- [ ] すべて正式名称で書いているか
- [ ] 学部・学科名まで記載しているか
- [ ] 元号と西暦が統一されているか
- [ ] 入学と卒業がセットになっているか
- [ ] 年月日に誤りがないか
- [ ] 誤字脱字がないか
- [ ] 「以上」で締めくくっているか
- [ ] 職歴欄とのバランスは適切か
- [ ] 空白期間がある場合、説明できる準備はできているか
まとめ:学歴欄は「正確さ」と「誠実さ」を示す場所
履歴書の学歴欄は、一見シンプルだが、書き方一つであなたの「正確性」「丁寧さ」「誠実さ」が伝わる重要な項目だ。
この記事のポイントをまとめると:
- 基本は中学卒業から記載(状況によっては高校卒業から)
- 正式名称で記載し、略称は使わない
- 学部・学科名まで正確に書く
- 元号・西暦を統一する
- 中退・留年は隠さず正直に記載
- 「以上」で締めくくる
私が人事として多くの応募者を見てきて感じるのは、学歴欄が正確に書かれている人は、仕事も丁寧で正確だということ。逆に、学歴欄に誤りが多い人は、仕事でもミスが多い傾向がある。
学歴そのものよりも、「どう書くか」が重要だ。
最後に一つアドバイス。履歴書を書き終えたら、必ず第三者にチェックしてもらおう。家族や友人でいい。自分では気づかない誤字脱字や、書き方のおかしな部分に気づくことができる。
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