履歴書の賞罰欄、あなたも迷っていませんか?
「賞罰って何を書けばいいの?」 「特に表彰された経験もないし、罰なんてもちろんない…空欄でいいの?」 「学生時代の皆勤賞とか書いてもいいのかな?」
履歴書を書いていて、この「賞罰」欄で手が止まる人は多い。実際、私がキャリアアドバイザーとして相談を受ける中で、最も質問が多い項目の一つだ。
結論から言えば、ほとんどの人は「なし」と書けば問題ない。ただし、書くべき賞罰がある場合に書かないと、後々トラブルになる可能性もある。
この記事では、賞罰の正確な定義から、書くべき基準、賞罰がない場合の具体的な書き方まで、転職活動で迷わないための全てを解説する。履歴書を前に悩んでいるあなたの不安を、この記事で解消しよう。
賞罰とは?履歴書における正確な意味
賞罰の「賞」と「罰」、それぞれ明確な定義がある。多くの人が誤解しているが、学校の皆勤賞や社内表彰は基本的に該当しない。
「賞」に該当するもの
履歴書に書くべき「賞」とは、公的機関や公益性の高い団体から受けた表彰を指す。具体的には以下のようなものだ。
- 国や地方自治体からの表彰(褒章、叙勲など)
- 都道府県知事や市町村長からの表彰
- 内閣総理大臣表彰
- 各省庁からの表彰(厚生労働大臣表彰など)
- 公益財団法人や業界団体からの権威ある賞
- オリンピックや国際的な競技大会での入賞
私が以前担当した50代の転職希望者は、20年以上勤めた企業で優秀社員賞を5回受賞していた。しかし、これは社内表彰であり履歴書の賞罰欄には記載しない。代わりに職務経歴書の実績欄に「営業成績優秀者として社内表彰5回」と記載することで、十分アピールできた。
「罰」に該当するもの
罰はさらに明確だ。法的な刑罰を受けた経歴を指す。
- 懲役刑
- 禁錮刑
- 罰金刑(交通違反の反則金は除く)
- 科料
注意すべきは、執行猶予中であっても刑罰を受けた事実は記載する必要があること。ただし、執行猶予期間が満了し、刑の言い渡しが効力を失った場合は「なし」と記載できる。
該当しないもの(よくある誤解)
以下は賞罰に該当しないため、書く必要はない。
- 学校の皆勤賞や成績優秀者表彰
- 社内表彰や社長賞
- 民間企業が主催するコンテストの入賞
- 部活動の大会優勝(全国大会など一部例外あり)
- 会社からの懲戒処分(減給、降格など)
- 交通違反の反則金
- 民事訴訟
28歳のIT技術者の方が「学生時代にハッカソンで優勝したのですが、これは賞罰に書くべきですか?」と質問してきたことがある。答えはNOだ。ただし、これは職務経歴書の自己PR欄で「技術力の証明」として記載すれば、大きなアピールポイントになる。
履歴書に書くべき「賞」の判断基準
賞の定義は分かったが、実際に書くべきか迷うケースもある。判断基準を具体的に見ていこう。
公的機関からの表彰は必ず記載
国や地方自治体、各省庁からの表彰は全て記載する。これは採用担当者があなたの社会的な信頼性や実績を評価する重要な情報だ。
例えば、介護職で厚生労働大臣表彰を受けた、消防団員として市長表彰を受けた、といったケースは必ず書く。これらは公的に認められた功績であり、職種によっては大きなプラスになる。
業界団体の権威ある賞も記載を検討
公益財団法人や業界全体で権威が認められている賞も、記載を検討する価値がある。
実際にあったケースでは、建築士として日本建築学会賞を受賞した45歳の転職希望者がいた。この賞は建築業界では非常に権威があるため、賞罰欄に記載したところ、面接で話題になり、採用の決め手の一つになった。
オリンピックや国際大会の実績
オリンピックや世界選手権での入賞、国体での優勝などは記載する。ただし、地方大会レベルは該当しない。
元プロスポーツ選手が一般企業に転職する際、現役時代の実績をどこまで書くか悩むことが多い。賞罰欄には「〇〇年 世界選手権〇〇競技 銅メダル獲得」など、最も権威ある実績に絞って記載する。その他の実績は職務経歴書に詳しく書けばいい。
迷ったときの判断軸
賞罰に書くべきか迷ったときは、以下を自問してみよう。
- その賞を主催したのは公的機関か?
- 業界全体で権威が認められているか?
- 受賞者数は限定的か?(多数が受賞していないか)
- 客観的な選考基準があるか?
これらに「はい」と答えられるなら、記載を検討する価値がある。
履歴書に書くべき「罰」の判断基準と注意点
罰については、書くべきかどうかの判断は比較的明確だが、書き方や伝え方に注意が必要だ。
刑事罰は原則すべて記載
懲役刑、禁錮刑、罰金刑を受けた場合は、執行猶予中であっても記載する必要がある。これを隠して入社した場合、発覚すれば経歴詐称として解雇理由になりうる。
ただし、以下の場合は「なし」と記載できる。
- 執行猶予期間が満了し、刑の言い渡しが効力を失った
- 刑の執行を終えてから一定期間が経過し、刑が消滅した
- 少年時代の犯罪で、記録が抹消された
交通違反の反則金は記載不要
駐車違反やスピード違反などで支払う反則金は、行政罰であり刑事罰ではない。したがって賞罰欄には記載しない。
32歳の営業職の方が「2年前にスピード違反で罰金を払ったのですが…」と青ざめた顔で相談に来たことがある。反則金と罰金は違う。反則金(青切符)なら記載不要だが、罰金(赤切符)なら刑事罰として記載が必要だ。
会社の懲戒処分は記載しない
前職で減給や降格などの懲戒処分を受けていても、これは社内処分であり法的な刑罰ではない。したがって賞罰欄には記載しない。
ただし、懲戒解雇されている場合、職歴欄の書き方には注意が必要だ。「一身上の都合により退職」と書くのは事実と異なるため、面接で退職理由を聞かれた際に正直に答える準備をしておくべきだ。
前科がある場合の正直な対応
前科があることを隠すべきではないが、伝え方は工夫できる。
40代で過去に罰金刑を受けた経験のある転職希望者がいた。履歴書には正直に記載し、面接では「当時の自分の未熟さを深く反省しており、それ以降は法令遵守を徹底してきました」と誠実に説明した。企業側も、正直に話したことと、その後の生活態度を評価し、採用に至った。
嘘をついて入社後に発覚するより、最初から正直に伝えて理解してくれる企業を探す方が、長期的には良い結果につながる。
賞罰が「なし」の場合の正しい書き方
ほとんどの人にとって、賞罰欄は「なし」になる。しかし、この「なし」の書き方にも正しい方法がある。
基本は「なし」と明記
賞罰欄がある履歴書を使う場合、何も書かずに空欄にしてはいけない。必ず「なし」と記入する。
空欄だと「書き忘れ」なのか「本当にないのか」が分からず、採用担当者に不要な不安を与えてしまう。
書き方の具体例
賞罰:なし
これが最もシンプルで一般的な書き方だ。中央に書いても左詰めでも、どちらでも構わない。
「特になし」は避ける
「特になし」という書き方を見かけるが、これは避けた方がいい。「特に」という表現が、まるで小さな賞罰はあるかのような印象を与える可能性がある。
シンプルに「なし」と書くのが最も適切だ。
手書きの場合の注意点
手書きの履歴書では、「なし」と書く位置や大きさにも配慮しよう。
- 賞罰欄の中央やや左寄りに書く
- 他の文字と同じ大きさで丁寧に
- 定規を使って書く必要はないが、乱雑にならないように
35歳の経理職の方が、賞罰欄に小さく「なし」と書いていたため、一見すると空欄に見えてしまっていた。採用担当者から「賞罰欄が書かれていないようですが」と指摘され、慌てたという経験を話してくれた。見やすさも意識しよう。
PC作成の場合も同様
最近はPCで履歴書を作成するケースも多い。その場合も同じく「なし」と明記する。
フォントサイズは本文と同じか、やや小さめ(10.5ポイント程度)で問題ない。極端に小さくしたり、薄いグレーで目立たなくしたりする必要はない。
賞罰欄でよくある疑問とケース別対応
実際の転職活動では、マニュアル通りにいかないケースも多い。よくある疑問に答えていこう。
Q1. 賞罰欄がない履歴書を使ってもいい?
問題ない。むしろ最近は賞罰欄のない履歴書フォーマットの方が主流になっている。
ハローワークの履歴書には賞罰欄がないものも多いし、市販の履歴書でも賞罰欄なしのタイプが増えている。企業から指定がなければ、賞罰欄のない履歴書を使っても全く問題ない。
Q2. 面接で賞罰について聞かれたら?
賞罰欄に「なし」と書いていれば、通常は聞かれない。もし聞かれた場合は「特にございません」と答えればいい。
ただし、前科がある場合は正直に答えるべきだ。嘘をついて後で発覚する方が、はるかに大きな問題になる。
Q3. 執行猶予中の場合はどう書く?
執行猶予中であっても、刑罰を受けた事実は記載する必要がある。
書き方の例:
賞罰:平成〇〇年〇月 〇〇罪により罰金〇〇万円(執行猶予期間満了 令和〇年〇月)
執行猶予期間満了後は「なし」と記載できる。
Q4. 少年時代の犯罪は書く必要がある?
少年法により、少年時代の犯罪記録は20歳を過ぎると抹消される。したがって、記載する必要はない。
Q5. 社内表彰を賞罰欄に書いてしまった場合は?
すでに提出してしまった場合でも、大きな問題にはならない。ただし、本来の賞罰欄の意味を理解していないと思われる可能性はある。
次回からは職務経歴書の実績欄に記載し、賞罰欄は「なし」とするのが正しい。
Q6. 資格と賞罰を混同してしまった
資格欄と賞罰欄は全く別のものだ。資格欄には取得した資格や免許を記載し、賞罰欄には前述の通り公的な表彰や刑罰を記載する。
26歳の第二新卒の方が、賞罰欄に「TOEIC 850点」と書いていたケースがあった。これは資格欄に書くべき内容だ。基本的なことだが、意外と混同している人もいる。
賞罰欄で不利にならないための注意点
賞罰欄は地味な項目だが、書き方次第では印象を左右する可能性もある。注意すべきポイントを押さえておこう。
嘘は絶対に書かない
当然だが、受けていない表彰を書いたり、前科を隠したりしてはいけない。
特に前科を隠して入社した場合、発覚すれば解雇理由になりうる。採用時に「賞罰なし」と申告していた事実が虚偽だったとなれば、経歴詐称とみなされる。
必要以上に詳しく書かない
賞罰欄はあくまで簡潔に事実を記載する欄だ。長々と経緯を説明する必要はない。
例えば、厚生労働大臣表彰を受けた場合:
賞罰:令和〇年〇月 厚生労働大臣表彰受賞
これで十分だ。詳細は面接で聞かれたときに説明すればいい。
過去の失敗を前向きに捉える
もし前科があって記載する場合でも、面接ではその後どう生きてきたかが重要視される。
過去の過ちを認め、そこから何を学び、どう変わったのか。この姿勢を見せることができれば、むしろ人間的な成長をアピールできる。
職務経歴書との使い分けを意識
賞罰欄に書くべきでない業績や実績は、職務経歴書でしっかりアピールしよう。
社内表彰、プロジェクトの成功、売上目標の達成など、仕事上の実績は全て職務経歴書に記載する。履歴書の賞罰欄には公的な表彰のみを記載し、仕事の実績は職務経歴書でアピールする。このメリハリが大切だ。
古い表彰の扱い
30年前の表彰を書くべきか迷う人もいる。基本的に、公的機関からの表彰であれば年数に関係なく記載してかまわない。
ただし、あまりに古すぎる場合は、面接で「最近の実績」について質問されることは覚悟しておこう。履歴書に記載した表彰と、現在のあなたの能力が結びつくよう、説明できる準備をしておくべきだ。
賞罰欄の本質を理解すれば迷わない
ここまで読んで気づいたかもしれないが、賞罰欄は実は多くの転職者にとって「なし」と書く欄だ。それでも履歴書に賞罰欄が存在するのには理由がある。
企業が知りたいのは「信頼できる人物か」
賞罰欄が設けられている本質的な理由は、採用する人物の社会的信頼性を確認するためだ。
公的機関から表彰されているなら、それは社会的に認められた功績の証明になる。逆に前科があるなら、それは企業として知っておくべき情報だ。特に、金銭を扱う職種や機密情報に触れる職種では、前科の有無は重要な判断材料になる。
正直さが最も評価される
賞罰欄で企業が最も評価するのは「正直に書いているか」という点だ。
大げさな表彰を書いて自分を大きく見せようとしたり、前科を隠そうとしたりする姿勢は、信頼を損なう。「なし」なら「なし」と堂々と書き、あるなら正直に書く。この誠実さこそが、賞罰欄で問われている本質だ。
書類選考での判断材料としての位置づけ
賞罰欄は、書類選考で合否を分ける決定的な要素になることは少ない。むしろ、他の項目(職歴、スキル、志望動機など)の方がはるかに重要だ。
賞罰欄を気にしすぎて、他の重要な項目がおろそかになってしまっては本末転倒だ。賞罰欄は正確に記入することを心がけつつ、職務経歴書や志望動機の作成により多くの時間を使おう。
まとめ:賞罰欄は正直にシンプルに
賞罰欄について、最後にポイントをまとめよう。
賞罰欄の基本ルール
- ほとんどの人は「なし」と書けば問題ない
- 公的機関からの表彰は記載する
- 刑事罰を受けた場合は正直に記載する
- 社内表彰や学校の賞は書かない
- 空欄にせず必ず「なし」と明記
判断に迷ったときの考え方
- 公的機関や権威ある団体からの表彰か?
- 客観的な選考基準があるか?
- 法的な刑罰を受けたか?
転職成功のために
- 賞罰欄で過度に悩まない
- 正直に書くことが最も重要
- 仕事の実績は職務経歴書でアピール
- 他の重要な項目に時間を使う
履歴書の賞罰欄は、多くの人にとって「なし」と書く小さな欄だ。しかし、その書き方一つで、あなたの誠実さが伝わる。
難しく考えすぎず、正直にシンプルに。それが賞罰欄の正しい向き合い方だ。これで履歴書作成の手が止まることなく、自信を持って転職活動を進められるはずだ。
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