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銀行の定年が早い理由とは?出向・役職定年の仕組みと対策

「銀行員は定年が早いって聞くけど、本当?」 「就職(または転職)を考えているけど、50代で放り出されるって噂が気になる…」

銀行という安定の代名詞のような業界に、なぜか「定年が早い」という評判がついて回ります。就活生も、現役の銀行員も、そのご家族も、一度は引っかかる疑問ではないでしょうか。

筆者は転職相談を通じて、50代で銀行を離れる方のセカンドキャリアに関わってきました。今回は元メガバンク勤務の知人にも実情を聞いています。先に結論を言うと、銀行の「公式の定年」は60歳が主流で、他業界と比べて特別早いわけではありません。早いのは、役職定年と出向・転籍による「実質的なキャリアの区切り」です。

この記事では、その仕組み、早い理由、役職定年後の現実、そして近年の変化と備え方まで、噂の正体を解き明かします。

目次

結論:「定年が早い」の正体は、公式定年ではなく「役職定年+出向・転籍」

まず誤解を解いておきます。銀行の就業規則上の定年は、長く60歳が一般的でした。後述するように近年は65歳へ延長する動きもあり、制度上はむしろ他業界並みです。

では何が「早い」のか。それは、50代前半から半ばで訪れる実質的なキャリアの転機です。銀行員の実質的な定年は50代前半から半ばとあまりに早く、65歳や70歳まで働くとすれば15〜20年近いセカンドキャリアを考えなくてはならないと指摘されるほど。この「実質定年」を生んでいるのが、役職定年と出向・転籍という銀行特有の慣行です。

銀行の「実質定年」はいつ?役職定年と出向・転籍の仕組み

役職定年:55歳前後で役職が外れる

メガバンクには役職定年という制度があります。銀行員は55歳になると部長や支店長といった役職が解かれ、役職に伴う権限がすべて無くなるのが一般的です。給料も役職手当の分などが下がり、それまで部下だった人の下で働く立場になることもあります。

出向・転籍:50代で関連会社や取引先へ

もう一つが出向・転籍。銀行員は55歳になる前に、順次、関連会社や取引先へ出向していくのが通例です。たとえば関連会社へ「担当部長待遇」で出向し、出向先で勤務を続けて55歳で役職定年を迎えると、銀行の籍を失って出向先へ完全に移籍(転籍)するという流れをたどります。

メガバンク特有:役職定年と退職がほぼ同時

特にメガバンクで顕著なのが、役職定年がほぼそのまま銀行からの退場を意味する点です。メガバンクの役職定年は一般に55歳前後と言われ、役職が外されると同時に定年退職もやってくる。結果として9割程度の55歳社員は銀行からいなくなり、残るのは役員か、特別な事情で嘱託として残る人がほとんどとされます。50歳前後で出向・転籍が一般的だった時代に比べれば緩和されていますが、「本体に残れるのは一握り」という構造は残っています。

なぜ銀行は実質定年が早いのか【3つの理由】

1. 人件費が高いから

最大の理由はコストです。銀行員は給料が非常に高く、50歳以上の管理職になると最低でも年収1,200万円を超えることもあるとされます。高給のベテランを本体に大勢抱え続けることは経営の重荷になり、外へ送り出すことで人件費を抑える狙いがあります。

2. ポストが少なくピラミッド型だから

銀行は管理職ポストが限られたピラミッド型の組織です。上の世代がポストに居座り続けると、下の世代が昇進できず、組織の新陳代謝が止まります。一定年齢で役職を解き、外へ出すことで、若手に道を空ける仕組みが働いています。

3. 関連会社・取引先という「受け皿」があるから

銀行は数多くの関連会社や融資先・取引先を抱えています。そこへ経営人材や管理職として人を送り込む慣行が確立しており、出向・転籍の受け皿が用意されている。これが、他業界より早く人を外へ動かせる土台になっています。

役職定年・出向の後はどうなる?年収と働き方のリアル

ここは冷静に知っておきたい部分です。役職定年や定年後再雇用では、給与が大きく下がります。役職定年や定年後再雇用で給料が激減する現実があり、50代の人生設計を誤ると厳しい状況に陥ると報じられています。報道では役職定年で年収が数割、再雇用で半減といった水準も語られます。

金銭面だけではありません。役職が外れた状態で後輩の下に付くことを惨めに感じ、退職してしまう人が多いのも、銀行員は定年が早いと言われる一因とされます。心理的なハードルが、実質定年をさらに前倒しさせている面もあるのです。

【近年の変化】「定年が早い」は過去になりつつある

ここからは希望のある話です。銀行業界の人事制度は、ここ数年で大きく動いています。

メガバンクでは定年延長が進み、三菱UFJ・三井住友・みずほの3行は定年を60歳から65歳へ延長している状況です。先陣を切った三井住友銀行は2020年にメガバンクとして初めて定年を65歳に延長し、51歳以降の給与水準を引き上げて長く働ける環境を整え、社外への転職も割増退職金で支援しているとされます。

地方銀行でも変化があります。りそな銀行は2021年から60歳の定年を本人が最長65歳まで選べるようにし、再雇用を使えば最長70歳まで働けるようにした結果、50代後半の部長・支店長が5年前の倍に増えたといいます。背景には、2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法により、企業が70歳までの就業機会の確保を努力義務として負うようになったことがあります。

ただし、定年という器が延びても、役職定年や出向・転籍の慣行そのものは依然として残っています。「制度上は長く働ける、でも実質的な転機は早い」という二重構造を理解しておくことが大切です。

【相談事例】50代の転機をどう迎えたか

転職相談で出会ったケースを、個人が特定されない形でご紹介します。

ある元メガバンクの男性は、53歳で役職定年と実質的な退職を同時に迎えました。本人いわく「まだバリバリ働ける時期に区切りが来てショックだった」とのこと。それでも、40代のうちから簿記や中小企業診断士の勉強を進めていたため、関連会社ではなく、自分の意思で中小企業の経営企画ポジションへ転職。年収はピーク時より下がったものの、裁量とやりがいを得て前向きに働いています。

対照的に、別の相談者は「銀行にいれば安泰」と備えを後回しにし、役職定年後に初めて慌ててセカンドキャリアを考え始めました。50代からの仕切り直しは選択肢が限られ、想定外の転籍を受け入れざるを得なかったといいます。差を生んだのは能力ではなく、転機が来ると知っていたかどうか、そして備えていたかどうかでした。

転職アドバイザーが伝えたい、銀行員のセカンドキャリアの備え

実質定年が早いことは、裏を返せば「準備の時間が他業界より早く必要」というだけのこと。打てる手は具体的にあります。

まず、40代のうちにキャリアの棚卸しをすること。自分が銀行で何を身につけたかを言語化しておくと、いざという時に動けます。そして銀行で培ったスキルは、他業界で高く評価されます。財務分析、融資審査、法人営業、コンプライアンス、リスク管理。これらは事業会社の経理・財務、経営企画、コンサルティング、不動産、保険など、応募先で具体的な実務として語れる強みです。

加えて、早期退職に応じると退職金が優遇される銀行も多いため、制度を理解したうえで「いつ、どう動くか」を主体的に設計しておくこと。会社に決められる前に、自分で選ぶ。これがセカンドキャリアの満足度を大きく左右します。

なお、退職金や年金、税金の扱いは個人の状況で大きく変わります。具体的な資金計画は、必要に応じて専門家に相談しながら進めてください。

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