「入社したばかりだけど、もう辞めたい…」「試用期間中に退職するのはおかしいのかな?」
転職して新しい会社に入社したものの、思っていた仕事内容と違った、職場の雰囲気が合わない、人間関係がうまくいかない。そんな理由で試用期間中に退職を考えている方は、実はあなただけではありません。
実際、試用期間中に退職する人は決して少なくないのです。しかし同時に「すぐ辞めたら次の転職に影響するのでは?」「我慢すべきなのか、辞めるべきなのか判断できない」という不安も抱えているのではないでしょうか。
この記事では、転職アドバイザーとして数多くの相談を受けてきた経験をもとに、試用期間中の退職が多い理由、辞めるべきか判断する基準、そして退職する際の正しい手順まで、具体的に解説します。読み終わる頃には、あなたが今どう行動すべきか明確になっているはずです。
試用期間中の退職は実際に多いのか?データで見る現状
まず結論からお伝えすると、試用期間中に退職する人は思っている以上に多いのが現実です。
厚生労働省の調査によると、新規学卒就職者の約3割が就職後3年以内に離職しており、その中でも1年以内の早期離職が一定数を占めています。転職者の場合も同様で、入社後3ヶ月以内に退職を決断するケースは珍しくありません。
試用期間中の退職が多い業界と職種
特に試用期間中の退職が多いとされる業界には、以下のような傾向があります。
・飲食業、宿泊業:労働時間の長さや休日の少なさがミスマッチの原因に ・小売業:シフト制や立ち仕事の大変さが想像以上だった ・IT業界:技術要件や業務内容が求人票と異なるケースが多い ・営業職:ノルマや顧客対応のプレッシャーが予想外に大きい ・介護・福祉業界:体力的・精神的負担が想定を超えていた
実際に、28歳でIT企業に転職したAさんのケースでは、「求人には『未経験歓迎』と書いてあったのに、入社初日から専門用語が飛び交い、研修もほと�どなく実務を任された。2週間で限界を感じて退職を決めた」という話があります。
なぜ試用期間中の退職を選ぶのか
試用期間中に退職する人が多い背景には、「合わない会社で長く働くより、早めに見切りをつけた方が良い」という考え方があります。試用期間は、企業が社員を評価する期間であると同時に、社員が企業を評価する期間でもあるのです。
また、試用期間中は退職手続きが比較的簡単で、退職予告期間も短い(多くの場合2週間)ため、心理的なハードルが低いという側面もあります。
試用期間中に退職する人が多い5つの理由
試用期間中に退職を決断する人には、共通する理由があります。ここでは、特に多い5つの理由を詳しく見ていきましょう。
理由1:求人内容と実際の業務内容が違った
最も多い退職理由がこれです。求人票に書かれていた仕事内容と、実際に任される業務が大きく異なるケースは想像以上に多く存在します。
具体例として、「マーケティング職」として採用されたBさん(26歳・女性)のケースがあります。求人では「SNS運用やデータ分析を担当」と書かれていたのに、実際はテレアポや飛び込み営業ばかり。上司に確認したところ「まずは営業を経験してから」と言われ、入社1ヶ月で退職を決意しました。
このような「求人詐欺」とも言える状況に直面した場合、無理に続ける必要はありません。むしろ早めに見切りをつけることが、あなたのキャリアにとってプラスになることもあります。
理由2:職場の人間関係や雰囲気が合わなかった
入社前の面接では分からなかった職場の雰囲気や人間関係の問題も、試用期間中の退職理由として多く挙げられます。
・上司が高圧的で、ミスをすると人前で怒鳴られる ・先輩社員が教えてくれず、放置される ・派閥があり、新人は居づらい雰囲気 ・社内の雰囲気が暗く、誰も挨拶しない ・パワハラやセクハラが日常的に行われている
32歳で中小企業に転職したCさんは、「面接では和やかな雰囲気だったのに、入社してみたら社員同士がほとんど会話せず、ピリピリした空気。お昼も一人で食べるのが当たり前で、1週間で精神的に限界を感じた」と語っています。
人間関係は仕事のパフォーマンスに大きく影響します。明らかに異常な環境であれば、我慢せず早めに退職を検討すべきです。
理由3:労働条件が聞いていた内容と異なった
給料、労働時間、休日などの労働条件が、入社前に聞いていた内容と違うケースも退職理由の上位に入ります。
よくあるパターンとしては:
・残業代が支払われない(みなし残業と言われる) ・休日出勤が当たり前で、休みが取れない ・給料が求人票より低い、または手当がつかない ・有給休暇が実質取得できない雰囲気 ・試用期間中は給料が大幅に減額される
29歳で営業職に転職したDさんは、「求人には月給28万円と書いてあったのに、実際は基本給18万円+みなし残業10万円。残業が月80時間を超えても追加の残業代は出ず、労働基準法違反だと思い即退職した」というケースがありました。
労働条件の相違は、労働契約の重大な違反です。泣き寝入りする必要は全くありません。
理由4:体力的・精神的についていけなかった
業務内容そのものが自分の体力や精神力の限界を超えていると感じ、退職を選ぶ人も少なくありません。
・連日深夜まで残業が続き、体を壊しそう ・ノルマのプレッシャーで眠れない ・クレーム対応が精神的に辛すぎる ・立ち仕事や力仕事が想像以上にきつい ・毎日怒られ続けて自己肯定感が下がった
特に、前職とは全く異なる業界・職種に転職した場合、体力面・精神面での負担が予想を超えることがあります。35歳で事務職から介護職に転職したEさんは、「やりがいを感じたくて転職したけど、夜勤や体力仕事が50代までできる自信がなく、1ヶ月で断念した」と振り返ります。
健康を害してまで続ける仕事はありません。自分の体と心を最優先に考えましょう。
理由5:会社の将来性に不安を感じた
入社してみて初めて分かる会社の内情に不安を感じ、早期退職を決断するケースもあります。
・経営状況が悪く、給料遅延の噂がある ・離職率が異常に高く、常に人手不足 ・コンプライアンス意識が低く、違法行為が日常化している ・社長のワンマン経営で、社員の意見が全く通らない ・業績が悪化しており、近々リストラがありそう
30歳でベンチャー企業に転職したFさんは、「入社2週間で3人が退職し、残った社員に話を聞いたら『給料が3ヶ月遅延したこともある』と聞いて即退職を決めた。沈む船からは早く逃げるべきだと思った」と話しています。
将来性のない会社で頑張り続けても、あなたのキャリアにプラスになりません。早めの決断が賢明です。
試用期間中に退職するメリット・デメリット
試用期間中の退職を検討する際は、メリットとデメリットの両方を理解した上で判断することが大切です。
試用期間中に退職するメリット
早期退職には、以下のようなメリットがあります。
時間とエネルギーの無駄を最小限にできる 合わない会社で何年も我慢するより、早めに見切りをつけることで、次の転職活動に早く取り組めます。20代・30代の時間は貴重です。
精神的・身体的なダメージが少ない ブラック企業や合わない職場で長く働くと、うつ病や適応障害などのリスクが高まります。早期退職により、深刻な健康被害を防げます。
履歴書への影響を最小化できる 試用期間中の退職は、履歴書に書かない選択も可能です(後述)。また、短期間であれば「ミスマッチだった」という説明も通りやすくなります。
自分に合った仕事を見つけるチャンスが増える 早く退職すれば、その分次の転職活動に時間を使えます。焦って決めた会社より、じっくり選んだ会社の方が長続きする可能性が高いでしょう。
試用期間中に退職するデメリット
一方で、デメリットも存在します。
短期離職の記録が残る可能性がある 社会保険に加入していた場合、記録が残ります。また、履歴書に書く場合は短期離職として扱われ、次の面接で質問される可能性があります。
収入が途絶える期間ができる 退職後すぐに次の仕事が決まらない場合、無収入の期間が発生します。貯金がない場合は生活に困る可能性もあります。
転職回数が増える 短期離職を繰り返すと、「すぐ辞める人」という印象を持たれ、今後の転職活動に影響する可能性があります。
自信を失う可能性がある 「自分は仕事が続かない」とネガティブに捉えてしまい、自己肯定感が下がることもあります。
これらのメリット・デメリットを天秤にかけ、自分の状況に合わせて判断することが重要です。
試用期間中に辞めるべきか判断する基準
「辞めたいけど、本当に辞めていいのか分からない」という方のために、具体的な判断基準をお伝えします。
すぐに辞めるべき「レッドライン」
以下のような状況に当てはまる場合は、迷わず退職を検討すべきです。
法律違反が日常的に行われている ・残業代が一切支払われない ・休憩時間が与えられない ・最低賃金を下回る給料 ・タイムカードの改ざんを強要される
これらは明確な労働基準法違反です。我慢する必要は全くありません。
ハラスメントが横行している ・パワハラ、セクハラ、モラハラが日常的 ・人格を否定するような言動がある ・暴力や脅迫がある
心身の健康を害する環境では働けません。証拠を残した上で、速やかに退職しましょう。
健康に明らかな悪影響が出ている ・不眠、頭痛、胃痛などの身体症状が続く ・出勤前に吐き気や動悸がする ・うつ症状が出ている
体が拒否反応を示しているなら、それは「辞めるべき」というサインです。
もう少し様子を見るべき「イエローライン」
以下の場合は、1〜2ヶ月様子を見てから判断しても良いでしょう。
単純に慣れていないだけの可能性がある ・仕事が覚えられず焦っている ・同僚との関係構築がまだできていない ・新しい環境に緊張している
入社直後は誰でも不安を感じるものです。3ヶ月経てば状況が変わる可能性もあります。
改善の余地がある問題 ・上司に相談すれば解決できそうな業務内容の問題 ・部署異動の可能性がある ・会社側も問題を認識しており、改善に動いている
対話や調整で解決できる問題なら、まずは相談してみましょう。
冷静に考える時間を作る判断方法
感情的になっている時は、正しい判断ができません。以下のステップで冷静に考えましょう。
- 退職したい理由を紙に書き出す
- それぞれの理由が「改善可能か」「我慢できるレベルか」を評価する
- 信頼できる人(家族、友人、転職エージェントなど)に相談する
- 最低でも3日間は考える時間を取る
- それでも辞めたい気持ちが変わらなければ、退職を決断する
実際に、25歳で試用期間中に退職したGさんは「最初の1週間は『辞めたい』と毎日思ったけど、2週間目から仕事の流れが分かってきて、1ヶ月後には楽しくなった」というケースもあります。
逆に、33歳で転職したHさんは「最初から違和感があったけど、『慣れるかも』と3ヶ月我慢した結果、精神的に追い込まれて退職。もっと早く辞めればよかった」と後悔しています。
自分の直感も大切にしながら、冷静な判断を心がけましょう。
試用期間中に退職する際の正しい手順と注意点
試用期間中の退職を決めたら、正しい手順で進めることが重要です。トラブルを避け、円満退職を目指しましょう。
退職の意思を伝えるタイミング
試用期間中であっても、民法上は退職の2週間前までに意思表示をすれば退職できます。ただし、就業規則で「1ヶ月前」などと定められている場合もあるため、まずは就業規則を確認しましょう。
可能であれば、以下のタイミングで伝えるのがベストです。
・入社1週間以内:即日〜1週間後の退職も交渉可能なことが多い ・入社1ヶ月以内:2週間後の退職が一般的 ・試用期間終了間近:1ヶ月前に伝えるのが望ましい
実際に入社2週間で退職を決めたIさん(27歳)は、「上司に相談したところ、『早めに言ってくれて助かる。来週末での退職で大丈夫』と言われ、スムーズに退職できた」とのことです。
退職の伝え方と注意点
退職を伝える際は、以下のポイントを押さえましょう。
まず直属の上司に口頭で伝える メールやチャットではなく、対面で伝えるのが社会人としてのマナーです。上司が忙しそうな場合は「お話があるのですが、お時間よろしいでしょうか」と事前に時間を確保しましょう。
退職理由は簡潔に 「一身上の都合により」でも問題ありません。詳しく聞かれた場合は「業務内容が想定と異なり、自分に合わないと判断しました」など、事実ベースで簡潔に伝えます。
感情的にならない どんなに不満があっても、感情的に文句を言うのは避けましょう。「お世話になりました」という感謝の気持ちを伝えつつ、冷静に退職の意思を伝えることが大切です。
退職届を提出する 口頭で伝えた後、正式な退職届を提出します。フォーマットは会社によって異なるため、総務や人事に確認しましょう。
退職時に受け取る・返却する書類
退職時には、以下の書類のやり取りが発生します。
会社から受け取るもの: ・離職票(失業保険の手続きに必要) ・源泉徴収票(年末調整や確定申告に必要) ・雇用保険被保険者証 ・年金手帳(会社が保管している場合) ・健康保険資格喪失証明書
会社に返却するもの: ・健康保険証 ・社員証、IDカード ・制服、名刺 ・会社の貸与品(パソコン、携帯電話など) ・業務に関する資料やデータ
特に健康保険証は、退職日翌日から使えなくなるため、必ず返却しましょう。
退職後の手続き
退職後すぐに次の仕事が決まっていない場合は、以下の手続きが必要です。
・ハローワークでの失業保険の手続き(離職票が必要) ・国民年金への切り替え(退職後14日以内) ・国民健康保険への加入、または家族の扶養に入る手続き
これらを忘れると、年金未納や無保険状態になってしまうため、早めに対応しましょう。
試用期間中の退職を履歴書・面接でどう説明するか
試用期間中に退職した経験は、次の転職活動でどう扱うべきか悩むポイントです。
履歴書に書くべきか、書かなくても良いか
結論から言うと、試用期間中の退職は履歴書に書かなくても法律違反にはなりません。ただし、状況によって判断が分かれます。
履歴書に書かなくても良いケース: ・在籍期間が1ヶ月未満 ・社会保険に加入していない ・次の転職先にバレるリスクが低い
履歴書に書いた方が良いケース: ・在籍期間が2ヶ月以上 ・社会保険に加入していた ・同業他社への転職で、バレる可能性が高い
実際に、入社3週間で退職したJさん(29歳)は履歴書に記載せず、面接で「前職の退職から期間が空いているのはなぜですか?」と聞かれた際に「自己分析と企業研究に時間をかけていました」と答え、無事内定を得ました。
一方、入社2ヶ月で退職したKさん(31歳)は履歴書に記載し、正直に理由を説明することで「誠実な人」という評価を得て、採用されたケースもあります。
面接での説明の仕方
履歴書に記載した場合、面接で必ず理由を聞かれます。その際のポイントは以下の通りです。
正直に、しかしネガティブすぎないトーンで 「前職では営業職として入社しましたが、実際は求人内容と異なり、テレアポ業務が中心でした。自分のキャリアプランと合わないと判断し、早期に退職を決断しました」
学びを強調する 「この経験から、企業研究の重要性を痛感しました。今回の転職では、実際に働いている方の話を聞き、職場見学もさせていただいた上で応募しています」
前向きな姿勢を示す 「御社では〇〇の業務に携わりたいと考えており、長期的にキャリアを築いていきたいと思っています」
絶対に避けるべき説明: ・前の会社の悪口を言う ・「すぐ辞めるつもりで入社した」と誤解される表現 ・曖昧な説明や嘘
実際に、試用期間中の退職経験があるLさん(28歳)は、面接で「正直に理由を説明し、そこから学んだことを伝えたところ、面接官から『自己分析ができている』と評価され、内定をもらえた」と語っています。
複数回の短期離職がある場合
もし過去にも短期離職の経験がある場合は、より慎重な説明が必要です。
「これまで2回の短期離職を経験しましたが、いずれも入社前のリサーチ不足が原因でした。この反省を活かし、今回は転職エージェントを活用し、企業の内情をしっかり確認した上で応募しています。御社では腰を据えて長く働きたいと考えています」
重要なのは、「同じ失敗を繰り返さない」という姿勢を示すことです。
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