「法人営業に転職すれば、キャリアアップできると思ったのに」 「目標数字に追われる毎日がこんなにつらいなんて」 「個人営業の経験があれば、法人もいけると思ってたけど、全然違う…」
転職サイトを見ていたあなたは、こんな求人に目を留めたはずです。
「未経験歓迎・法人営業」 「顧客は大手企業中心・安定した営業スタイル」 「インセンティブあり・年収アップのチャンス」
魅力的な言葉が並んでいる。個人営業よりも信頼関係を築ける、長期的な仕事ができる、大きな商談を動かせる――そんな期待を抱いて、法人営業の世界に飛び込んだ。
でも、入社して3ヶ月、半年、1年と経つうちに、じわじわと違和感が広がっていく。
毎週の目標達成会議。エクセルに並ぶ赤字の数字。上司からの「今月、あとどれくらい積めるんだ?」という問いかけ。取引先の窓口担当者は丁寧だけど、決裁権がない。提案書を何度も作り直しても、稟議が通らない。気づけば、夜遅くまで社内資料作りに追われている。
「こんなはずじゃなかった」
その感覚は、決してあなただけのものではありません。法人営業への転職で後悔している人は、実は少なくないのです。
この記事では、法人営業への転職で後悔する人の共通点、向いている人・向いていない人の特徴、そして転職前に知っておくべき現実を、包み隠さずお伝えします。
この記事でわかること:
- 法人営業への転職で後悔する人の共通点
- 「目標がつらい」と感じる本当の理由
- 法人営業に向いている人・向いていない人の決定的な違い
- 転職後に後悔しないための判断基準
- 向いていなくても活路を見出す方法
法人営業への転職で後悔する人の共通点
共通点①:個人営業と法人営業は「同じ営業」だと思っていた
よくある声(転職口コミサイトより): 「不動産の個人営業を5年やっていたので、法人営業も余裕だと思っていました。でも全然違います。個人なら即決してもらえたことが、法人だと稟議、稟議、稟議…。3ヶ月かけて提案したのに『今期は見送り』と言われて、心が折れました」(20代後半・IT系法人営業)
現実的な補足:
個人営業と法人営業は、営業という大枠は同じでも、プロセスと時間軸がまるで違います。
個人営業の特徴:
- 意思決定者は目の前の顧客本人
- 感情や共感で動くことが多い
- 契約までのスピードが速い(即日〜数週間)
- 一人の顧客との関係は比較的浅い
法人営業の特徴:
- 意思決定者が複数いる(担当者・課長・部長・役員・経営陣)
- 論理と数字で判断される
- 契約まで数ヶ月〜数年かかることも
- 一社との関係を長期的に深める必要がある
個人営業で「押しの強さ」や「クロージング力」で成果を出してきた人ほど、法人営業の「待ちの時間」「社内調整の煩雑さ」にストレスを感じます。
具体例:
元保険営業のBさん(32歳)は、法人向けSaaS営業に転職しました。個人営業時代は月に20〜30件の契約を取っていたので、自信がありました。
しかし法人営業では、最初の商談から契約まで平均4ヶ月。しかも、契約まで進むのは提案した企業の3割程度。Bさんは「毎日動いているのに、数字が積み上がらない」と焦燥感に襲われました。
上司からは「法人営業は種まきと育成。今やってることは3ヶ月後に花開く」と言われましたが、目の前の目標数字には追われます。その矛盾に、Bさんは苦しんでいます。
共通点②:「目標」の意味を誤解していた
よくある声: 「前職も目標はありましたけど、未達でも詰められることはなかったです。でも今の会社は、目標未達だと毎週上司との面談。『なぜ達成できないのか』『どうやって挽回するのか』を延々と聞かれます。目標がつらいというより、詰められるプロセスがつらい」(30代前半・人材系法人営業)
現実的な補足:
法人営業における「目標」は、単なる努力目標ではなく、会社の売上計画の一部として組み込まれている数字です。
つまり、あなたの目標が未達 = 会社の売上計画が狂う、ということ。だから、管理職は目標達成にシビアにならざるを得ないのです。
目標がつらいと感じる理由:
- 目標が非現実的に高い(前年比120%など)
- 達成できる月とできない月の波が激しい
- 顧客の都合(予算消化タイミング、稟議の遅れ)で左右される
- 個人の努力だけではコントロールできない要素が多い
考察:
目標そのものよりも、「目標未達時の扱われ方」が、メンタルに影響します。
目標未達を「次にどう活かすか」と前向きに扱う会社もあれば、「なぜできないのか」と詰める文化の会社もある。後者の場合、法人営業特有の「長期スパン」と「目標の短期管理」のギャップに苦しみます。
共通点③:「提案型営業」を過大評価していた
よくある声: 「『提案型営業だからやりがいがある』と聞いて転職しました。でも実際は、顧客の言いなりです。無理な値引き要求、短納期対応、仕様変更の連続。社内を説得して調整するのが仕事の8割。提案なんてほとんどできません」(20代後半・製造業向け法人営業)
現実的な補足:
「提案型営業」という言葉は魅力的ですが、現実には顧客の要望を聞き取り、社内リソースを調整し、落とし所を探る調整業務が大半を占めます。
法人営業の実務:
- 顧客からのヒアリング
- 社内(開発、製造、物流、経理)との調整
- 見積書・提案書の作成
- 稟議書のサポート
- 契約書の確認
- 納品後のフォロー
- クレーム対応
華やかな「提案」の裏には、地味で煩雑な調整業務が山積みです。
具体例:
元アパレル販売員のCさん(28歳)は、オフィス用品の法人営業に転職しました。「お客様に最適な商品を提案できる」という仕事に魅力を感じたからです。
しかし現実は、顧客の「この商品、もっと安くならない?」「納期を1週間早められない?」という要望に対し、社内の上司や物流部門に頭を下げて調整する日々。
Cさんは「お客様のためというより、社内調整係になった気分」と漏らしています。
共通点④:「ルート営業だから楽」という誤解
よくある声: 「ルート営業なら既存顧客回りだから、新規開拓よりは楽かなと思っていました。でも、既存顧客からの要求がキツい。『もう何年も付き合ってるんだから、これくらいやってよ』と無茶振りされます。断れないし、目標もあるし、板挟みで辛いです」(30代前半・商社系法人営業)
現実的な補足:
ルート営業は「新規開拓がない分、楽」と思われがちですが、実際には既存顧客との深い関係性ゆえの難しさがあります。
ルート営業の大変さ:
- 長年の付き合いゆえの「甘え」や無理な要求
- 競合他社の提案と常に比較される
- 取引額の維持・拡大を求められる
- 担当者が変わるたびに関係を再構築
「顧客リストが渡されるから楽」ではなく、「既存顧客を維持・拡大しながら、新規も開拓する」のが実態です。
共通点⑤:「大手企業相手だから安定」の落とし穴
よくある声: 「大手企業が顧客だから、安定してると思っていました。でも、大手ほど値引き圧力が強いし、稟議が通らないし、担当者がコロコロ変わる。しかも一つの案件が飛ぶと、目標への影響が大きすぎて怖いです」(20代後半・広告系法人営業)
現実的な補足:
大手企業との取引は、確かに単価が大きく、継続性も期待できます。しかし、その分リスクも大きいのです。
大手企業相手の法人営業の現実:
- 意思決定プロセスが複雑(何段階もの承認が必要)
- 値引き交渉が厳しい(複数社で相見積もり)
- 担当者の異動が頻繁(関係性のリセット)
- 一案件が飛ぶと、目標への影響が甚大
中小企業相手の方が、意思決定が早く、柔軟に対応してもらえることも多いのです。
法人営業に向いている人・向いていない人
向いている人の特徴
特徴①:長期的な視点で関係を築ける人
法人営業は、「今月の目標」と「長期的な関係構築」の両立が求められます。
目の前の数字に焦りつつも、「この顧客とは3年後、5年後にどんな関係でいたいか」を考えられる人が強いです。
具体的な業務例:
すぐには受注につながらない情報提供(業界動向、競合情報など)を継続的に行い、顧客から「あの会社の営業は頼りになる」と思われる関係を作る。結果として、大型案件の声がかかる。
特徴②:社内調整が苦にならない人
法人営業の仕事の半分以上は、社内調整です。
開発部門に顧客の要望を伝え、物流に納期を確認し、経理に与信枠を相談し、上司に値引きの承認を取る――こうした調整業務を「面倒」ではなく「パズルを解く感覚」で楽しめる人が向いています。
具体的な業務例:
顧客から「この仕様で、この価格で、この納期でできないか?」と言われた時、社内の各部門に根回しをして、「ここまでなら可能です」という落とし所を見つける。
特徴③:数字で考えられる人
法人営業は、感情よりも論理と数字で動きます。
「この提案で、顧客にどれだけのコスト削減効果があるか」「ROIは何ヶ月で回収できるか」を数字で説明できる人が評価されます。
具体的な業務例:
提案書に、「導入による年間コスト削減額:○○万円、投資回収期間:○ヶ月」と明記し、稟議を通しやすくする。
特徴④:断られることに耐性がある人
法人営業は、断られる回数が圧倒的に多いです。
10社提案して、契約に至るのは1〜2社。8〜9社には断られます。それを「自分が否定された」ではなく「タイミングが合わなかった」「ニーズがなかった」と客観視できる人が、メンタルを保てます。
具体的な業務例:
半年かけて提案した案件が「今期は見送り」と言われても、「では来期、再度ご提案させてください」と前向きに次につなげる。
特徴⑤:情報収集と分析が好きな人
法人営業は、顧客の業界動向、競合他社の動き、自社商品の強みを常にアップデートする必要があります。
日経新聞を読む、業界レポートをチェックする、顧客のIR情報を見る――こうした情報収集を習慣化できる人が、深い提案ができます。
具体的な業務例:
顧客の新規事業のニュースを見て、「この事業に、弊社のこのサービスが役立つかもしれません」と先回りで提案する。
向いていない人の特徴
特徴①:即効性を求める人
「今日頑張ったら、今日結果が出る」を求める人は、法人営業に向いていません。
法人営業は、今日の行動が3ヶ月後、半年後の結果につながる世界です。
具体的な業務例:
今月、10社に新規アプローチをしても、契約に至るのは3ヶ月後。「今月の目標」には貢献しないが、やらなければ未来の数字がゼロになる。この矛盾に耐えられるかどうか。
特徴②:一人で完結したい人
法人営業は、チームプレーです。
顧客対応、社内調整、上司への報告――常に誰かとコミュニケーションを取り続けます。「一人で黙々と仕事がしたい」人には、ストレスフルです。
具体的な業務例:
毎週の進捗会議で、案件の状況を報告し、上司や同僚からアドバイスをもらう(または詰められる)。一人で完結することは、ほぼない。
特徴③:「ノー」と言えない人
顧客からの無理な要求、上司からの無茶な目標――法人営業は、時に「ノー」と言う勇気が必要です。
全てを引き受けてしまうと、自分が壊れます。
具体的な業務例:
顧客から「明日までに見積もりがほしい」と言われた時、社内の工数を考えて「申し訳ございませんが、正確な見積もりには3営業日いただいております」と伝える。
特徴④:目標数字にプレッシャーを感じすぎる人
法人営業は、常に目標数字に追われます。
「目標未達だと自分はダメな人間だ」と思い詰めてしまう人は、メンタルを病むリスクがあります。
具体的な業務例:
月末、目標まであと500万円足りない時、「どうしよう、達成できない」とパニックになるのではなく、「残りの案件で、どれを前倒しできるか」と冷静に考えられるか。
特徴⑤:ルーティンワークが好きな人
法人営業は、毎日が変化の連続です。
顧客の急な要望、社内の方針変更、競合の動き――「決まったことを決まった通りにやりたい」人には、不向きです。
具体的な業務例:
朝、一日の予定を立てていても、顧客から「今日、急遽打ち合わせできませんか?」と連絡が来て、予定が全て吹き飛ぶ。柔軟に対応できるか。
「向いていなくても活路があるケース」
ここまで読んで、「自分、向いてないかも…」と思った方へ。
実は、向いていない要素があっても、工夫次第で法人営業を続けられるケースがあります。
ケース①:「即効性を求める」→ 短納期商材を扱う法人営業へ
すべての法人営業が長期スパンではありません。
オフィス用品、消耗品、短期イベント向けサービスなど、契約までのスピードが速い商材もあります。こうした分野なら、即効性を感じながら働けます。
ケース②:「一人で完結したい」→ インサイドセールスやオンライン商談中心の営業へ
訪問営業ではなく、電話やWeb会議中心の営業スタイルなら、移動時間がない分、自分のペースで仕事を進めやすくなります。
特にSaaS系の企業では、インサイドセールス(内勤営業)とフィールドセールス(外勤営業)を分業している場合も多く、内勤型なら比較的一人で集中できます。
ケース③:「目標プレッシャーに弱い」→ 目標管理が緩やかな企業へ
すべての法人営業企業が、ガチガチに目標管理しているわけではありません。
特に老舗のBtoB企業や、ニッチ分野で競合が少ない企業は、「関係性重視」で目標への詰めが緩やかな場合もあります。
転職時に、面接で「目標管理のスタイル」を確認することが重要です。
ケース④:「ルーティンワークが好き」→ ルート営業比率が高い企業へ
新規開拓よりも既存顧客の深耕を重視する企業なら、比較的ルーティン化された業務が多くなります。
年間契約の更新、定期的な訪問、既存顧客からの追加発注対応――こうした「予測可能な仕事」が中心の法人営業もあります。
転職前に確認すべきチェックリスト
法人営業への転職で後悔しないために、以下を確認してください。
①目標の設定方法と評価制度
- 目標はどう決まるのか(会社が一方的に決める/自分で提案できる)
- 目標未達の場合、どうなるのか(給与に影響/詰められる文化があるか)
- 評価は目標達成率だけか、プロセスも評価されるか
②商材の特性
- 契約までの平均期間はどれくらいか
- 単価はいくらくらいか(高単価=件数は少ないが一件のプレッシャー大)
- 顧客の業種・規模はどこが中心か
③営業スタイル
- 新規開拓とルート営業の比率
- 訪問頻度(週に何社くらい回るのか)
- チーム制か個人プレーか
④社内体制
- 営業以外の部門(開発、製造、物流など)との連携はスムーズか
- 社内調整にどれくらい時間を取られるか
- 営業アシスタントや事務サポートはあるか
⑤残業・休日出勤の実態
- 月の平均残業時間
- 休日出勤の頻度
- 顧客対応で夜間・休日に連絡が来ることはあるか
面接時に、これらを具体的に質問してください。答えを濁す企業は、要注意です。
まとめ:法人営業は「合う・合わない」がはっきり分かれる
法人営業への転職で後悔する人の多くは、「営業」という大枠だけで判断し、法人営業特有の特性を理解していなかったケースです。
目標がつらいのは事実です。でも、それは「目標そのもの」よりも、「目標管理の仕方」「商材の特性」「会社の文化」に左右されます。
法人営業に向いている人:
- 長期的な関係構築を楽しめる
- 社内調整を「面倒」ではなく「やりがい」と感じる
- 数字とロジックで考えられる
- 断られることに耐性がある
- 情報収集が習慣化できる
法人営業に向いていない人:
- 即効性を求める
- 一人で完結したい
- ノーと言えない
- 目標プレッシャーに弱い
- ルーティンワークが好き
ただし、向いていない要素があっても、商材や企業を選べば活路はあります。
大切なのは、「法人営業」という大きなくくりではなく、「どんな商材を」「どんなスタイルで」「どんな企業文化の中で」売るのか、を具体的にイメージすることです。
転職は、人生の大きな決断です。焦らず、情報を集めて、自分に合った法人営業を見つけてください。
この記事が、あなたの判断材料の一つになれば幸いです。
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