「入社してまだ1ヶ月だけど、もう限界かもしれない…」
そんな風に悩んでいるあなたは、今とても苦しい状況にいるのではないでしょうか。朝起きるのが辛い、会社に行くのが憂鬱、このまま続けられる自信がない——そんな気持ちを抱えながら、それでも「1ヶ月で辞めるなんて、社会人として失格なのでは」と自分を責めていませんか。
私は転職アドバイザーとして10年以上、数千人の転職相談に乗ってきましたが、入社1ヶ月での退職を考える方は決して少なくありません。そして、その決断が必ずしも間違いとは限らないのです。
この記事では、1ヶ月で退職する際に知っておくべきポイント、リスクとその対処法、円満退職のための具体的な手順、そして次の転職活動への影響を最小限にする方法まで、実例を交えながら徹底解説します。
この記事を読むことで、あなたは冷静に状況を判断し、後悔のない決断ができるようになるはずです。
入社1ヶ月で退職する人の実態
まず知っておいていただきたいのは、入社1ヶ月での退職は決して珍しいことではないという事実です。
厚生労働省の調査によると、新卒者の約1割が入社1年以内に退職しており、その中でも試用期間内(入社3ヶ月以内)での退職は一定数存在します。中途採用でも、入社後すぐのミスマッチによる早期退職は年々増加傾向にあります。
実際に私が相談を受けた中でも、以下のようなケースがありました。
28歳・女性・営業職のケース IT企業に中途入社したものの、入社初日から連日22時までの残業。求人票には「残業月20時間程度」と書かれていたのに、実際は月80時間を超える状態。1ヶ月目で体調を崩し、退職を決意。
32歳・男性・エンジニアのケース 技術職として採用されたはずが、入社してみると営業職への配置転換を打診された。話が違うと抗議したものの「試用期間中は会社の判断に従ってもらう」と押し切られ、3週間で退職。
これらのケースは極端な例ではなく、実際に起こっている現実です。
入社1ヶ月で退職を考える主な理由
1ヶ月という短期間で退職を考える理由には、大きく分けて以下のパターンがあります。
入社前の説明と実態が大きく異なる
最も多い理由がこれです。
給与や勤務時間などの労働条件が違う 業務内容が全く異なる 社風や職場の雰囲気が想像と違いすぎた 求人票に書かれていた福利厚生が実際には存在しなかった
25歳の女性は、「アットホームな職場」という求人に惹かれて入社したものの、実際は派閥争いが激しく、毎日誰かが泣いているような環境だったと言います。「アットホームどころか、戦場でした」という彼女の言葉が印象的でした。
労働環境が過酷すぎる
入社してみて初めてわかる労働環境の問題もあります。
連日の長時間残業(月80時間以上) 休日出勤が当たり前の風土 パワハラ・セクハラが横行している サービス残業が常態化している
30歳の男性は、入社2週間で「これは自分の体が持たない」と判断しました。毎朝7時出社、退社は深夜0時過ぎ。しかも残業代は「みなし残業」として一切支払われない。「続けたら確実に壊れると思った」と彼は語ります。
人間関係が極端に悪い
職場の人間関係は、働く上で非常に重要な要素です。
上司から理不尽な叱責が毎日続く 先輩からの無視やいじめがある チーム内の派閥に巻き込まれた 相談できる人が誰もいない
27歳の女性は、配属された部署で完全に無視される状態でした。「おはようございます」と挨拶しても返事がない、質問しても答えてもらえない、ランチにも誘われない。1ヶ月耐えましたが、精神的に限界を迎えました。
仕事内容が全く合わない
スキルや適性のミスマッチも深刻な問題です。
未経験で入社したが、研修が一切なく放置された 自分のスキルレベルと業務内容が全く合わない やりたいと思っていた仕事とは程遠い雑用ばかり
35歳の男性は、マネジメント経験を活かせると期待して入社しましたが、実際は単純作業の繰り返し。「これなら前職の方がよっぽどやりがいがあった」と後悔しました。
体調を崩した
最も深刻なのが、健康への影響です。
ストレスで眠れなくなった 通勤途中に吐き気がする うつ症状が出始めた 持病が悪化した
26歳の女性は、入社3週間目から朝起きられなくなり、無理に出社しようとすると涙が止まらなくなりました。心療内科を受診したところ、「適応障害の可能性がある。環境を変えた方がいい」と診断されました。
1ヶ月で退職することのリスクとデメリット
1ヶ月での退職を考える際、必ず知っておくべきリスクがあります。
履歴書・職務経歴書への影響
1ヶ月という短期間の職歴をどう扱うかは、次の転職活動で必ず問題になります。
記載する場合:面接で必ず理由を聞かれる 記載しない場合:経歴詐称になる可能性がある(社会保険の記録で発覚するケースも) 短期離職が複数あると、「すぐ辞める人」という印象を持たれる
実際、29歳の男性は1ヶ月での退職歴を隠して転職活動をしたものの、内定後の雇用保険加入手続きで前職が判明し、内定取り消しになったケースもあります。
次の転職活動での説明が難しい
面接官は必ず聞いてきます。
「なぜ1ヶ月で辞めたのですか?」 「同じことが起きたら、またすぐ辞めるのではないですか?」 「会社選びが甘かったのではないですか?」
この質問にしっかり答えられなければ、内定獲得は難しくなります。
30歳の女性は、5社連続で「1ヶ月退職の理由」をうまく説明できず、すべて不採用。6社目でようやく、「会社側の労働条件違反」という客観的な事実を証拠とともに提示することで内定を得ました。
経済的な影響
退職には金銭的なリスクも伴います。
失業保険の受給資格がない(雇用保険加入期間が足りない) 次の仕事が決まるまでの生活費が必要 ボーナスや退職金は期待できない
28歳の男性は、貯金が50万円しかない状態で退職。次の仕事が決まるまで3ヶ月かかり、生活費が底をつきかけて焦って妥協した企業に入社し、また失敗するという悪循環に陥りました。
会社からの引き止めや圧力
試用期間中とはいえ、退職を申し出ると会社から様々な反応があります。
「もう少し頑張ってみないか」という引き止め 「次が決まってないのに辞めるのか」という説得 「損害賠償を請求する」などの脅し(実際にはほぼできません)
退職を伝えた後の気まずさや、最後まで働く期間のストレスも覚悟する必要があります。
それでも1ヶ月で退職すべきケース
リスクがあるとはいえ、それでも退職すべき状況は確実に存在します。
明らかな労働基準法違反がある場合
以下のような状況では、我慢する必要はありません。
賃金の未払いがある 違法な長時間労働を強制される 残業代が一切支払われない 休日が全く取れない
このような場合、証拠を集めた上で退職し、必要であれば労働基準監督署に相談することをおすすめします。
心身の健康に深刻な影響が出ている場合
健康より大切な仕事はありません。
不眠や食欲不振が続いている 通勤時に動悸や吐き気がする 医師から「環境を変えるべき」と診断された 自殺を考えるほど追い詰められている
24歳の男性は、入社3週間で体重が7kg減少。心療内科で「このまま続けると危険」と言われ、即日退職を決断しました。現在は回復し、別の会社で元気に働いています。
ハラスメントが横行している場合
パワハラ、セクハラ、モラハラなどは絶対に我慢すべきではありません。
人格否定や暴言が日常的にある 身体的な暴力がある セクハラ行為がある いじめや嫌がらせが組織的に行われている
このような環境で「もう少し頑張ろう」と思う必要はありません。
入社前の説明と全く違う場合
明らかな虚偽の説明で入社させられた場合も、退職は正当です。
給与額が全く違う(書面と実際の支給額が異なる) 職種が完全に異なる 勤務地が違う 雇用形態が違う(正社員のはずが契約社員など)
33歳の女性は、「東京勤務」という条件で入社したのに、入社後すぐに「来月から大阪転勤」と言われました。これは明らかな条件違反として、1ヶ月で退職し、次の転職活動でもこの理由を正直に伝えて内定を得ています。
1ヶ月で退職する際の具体的な手順
では、実際に退職する場合、どのように進めればよいのでしょうか。
ステップ1:退職の意思を固める
まず、本当に退職すべきか、冷静に考えましょう。
退職理由を明確にする 改善の余地はないか検討する 退職後の生活設計を考える 家族や信頼できる人に相談する
焦って決断すると後悔する可能性があります。可能であれば、数日間じっくり考える時間を取りましょう。
ステップ2:就業規則を確認する
退職の手続きは、会社の就業規則に従う必要があります。
退職の申し出はいつまでにすべきか(通常は2週間〜1ヶ月前) 試用期間中の退職に関する規定 退職届の提出方法
法律上は、退職の意思表示から2週間で退職できますが、円満退職を目指すなら就業規則に従うのが賢明です。
ステップ3:直属の上司に口頭で伝える
いきなり退職届を出すのではなく、まず上司に相談という形で伝えます。
「お話ししたいことがあるのですが、お時間いただけますか」 できれば個室や人目につかない場所で 感情的にならず、冷静に理由を説明する
27歳の男性は、ランチタイム後に上司を会議室に呼び、「実は、退職を考えています」と切り出しました。上司は驚いていましたが、冷静に理由を説明したことで、理解を得られました。
ステップ4:退職届を提出する
上司との話し合いの後、正式に退職届を提出します。
書式は会社指定のものがあればそれを使用 なければ、シンプルな退職届を作成 「一身上の都合により」という表現が一般的
ステップ5:引き継ぎを行う
1ヶ月しか在籍していなくても、可能な範囲で引き継ぎは行いましょう。
担当している業務の進捗状況をまとめる 資料やデータの保存場所を伝える 未完了のタスクをリストアップする
誠実な引き継ぎは、円満退職につながります。
ステップ6:貸与品の返却と必要書類の受け取り
退職時には、以下の対応が必要です。
返却するもの:社員証、保険証、名刺、PC、携帯電話など 受け取るもの:離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳など
これらを忘れると、後で郵送などの手間がかかります。
退職理由の伝え方|円満退職のためのポイント
退職理由をどう伝えるかは、非常に重要です。
本音と建前を使い分ける
1ヶ月での退職理由は、必ずしも本音を全て話す必要はありません。
避けるべき伝え方: 「上司が嫌いです」 「この会社、最悪ですね」 「みんな性格悪いし」
推奨される伝え方: 「自分の適性とのミスマッチを感じました」 「想定していた業務内容と異なり、力を発揮できないと感じました」 「家庭の事情で、勤務を続けることが難しくなりました」
ただし、労働基準法違反やハラスメントがある場合は、証拠とともにしっかり伝えるべきです。
感情的にならない
どんなに辛い状況でも、感情的になると不利になります。
冷静に事実を説明する 批判的な言葉は避ける 感謝の気持ちも忘れずに伝える
29歳の女性は、パワハラ上司への不満で退職を決意しましたが、退職面談では「貴重な経験をさせていただきありがとうございました。ただ、自分にはこの環境が合わないと判断しました」と冷静に伝え、円満に退職できました。
引き止められた時の対応
「もう少し頑張ってみないか」と引き止められることは多々あります。
意思が固い場合ははっきり伝える 「検討します」と曖昧にすると、ズルズル引き延ばされる 改善策を提示されても、それが実現可能か冷静に判断する
26歳の男性は、「給与を上げるから残ってくれ」と言われましたが、「金額の問題ではなく、業務内容のミスマッチです」とはっきり断りました。
次の転職活動での対策
1ヶ月退職の経歴を、次の転職活動でどう扱うかが重要です。
履歴書・職務経歴書への記載
基本的には、正直に記載することをおすすめします。
短期離職でも記載する理由:
- 社会保険の記録で発覚する可能性が高い
- 経歴詐称は解雇事由になり得る
- 正直に書いて納得できる説明をする方が印象が良い
ただし、試用期間中(3ヶ月未満)の場合、記載しないケースもあります。これについては転職エージェントに相談するのが確実です。
面接での説明の仕方
面接で必ず聞かれる「なぜ1ヶ月で辞めたのか」への回答を準備しましょう。
NG回答例: 「人間関係が嫌でした」 「仕事がきつかったです」 「思ってたのと違いました」
OK回答例: 「入社前に提示された労働条件と実態が大きく異なり、書面で確認したところ明らかな相違があったため、早期に判断しました。今回の経験を活かし、企業研究をより深く行い、長く貢献できる企業を慎重に選んでいます」
「想定していた職務内容と全く異なる業務に配置され、自分のスキルを活かせない状況でした。会社と何度も話し合いましたが改善が見込めず、早期に次のキャリアに進む決断をしました」
ポイントは、客観的な事実を述べ、自分の成長意欲や前向きな姿勢を示すことです。
転職エージェントの活用
1ヶ月退職の経歴がある場合、転職エージェントの利用が非常に有効です。
エージェントができること:
- 経歴の見せ方をアドバイスしてくれる
- 短期離職に理解のある企業を紹介してくれる
- 面接対策を手厚くサポートしてくれる
- 企業に事前に事情を説明してくれる
31歳の女性は、エージェントに正直に事情を話したところ、「その理由なら理解してくれる企業があります」と言われ、3社紹介されて1社から内定を得ました。
同じ失敗を繰り返さないために
次の会社選びでは、以下の点に注意しましょう。
企業研究を徹底する:
- 口コミサイト(OpenWorkなど)で社員の声を確認
- 離職率や平均勤続年数をチェック
- 面接で具体的な質問をする(残業時間、有給取得率など)
試用期間中の条件を確認する:
- 試用期間の長さ
- 試用期間中の給与や待遇
- 本採用の基準
内定承諾前に条件を書面で確認する:
- 労働条件通知書を必ず受け取る
- 曖昧な部分は質問して明確にする
- 口約束は信用しない
まとめ|1ヶ月での退職は慎重に、でも必要なら迷わず決断を
入社1ヶ月での退職は、確かにリスクがあります。履歴書への影響、次の転職活動での説明、経済的な負担——これらは現実的な問題です。
しかし、それでも退職すべき状況は確実に存在します。
心身の健康に深刻な影響が出ている 明らかな労働基準法違反がある ハラスメントが横行している 入社前の説明と全く異なる条件
こういった状況では、我慢して続けることが正解とは限りません。
大切なのは、冷静に状況を見極めること。そして、退職する場合は、できる限り円満に、そして次のキャリアに悪影響が出ないよう、戦略的に行動することです。
コメント